沖縄工vs球陽
これがパワートレーニングの成果!圧巻の12得点で沖縄工が好発進
親川奨人(沖縄工)
2014年の選抜高校野球大会で県代表として出場した美里工。そのとき神谷監督と共に部長として選手たちを率いていたのが、現沖縄工の知名監督。常々「神谷先生の理論は勉強になる。」と語っていた知名監督は、沖縄工に赴任して後、早速神谷先生が行っていたクロスフィットトレーニングを導入するなど、精力的に動いた。その結果の一つがこの試合で見ることが出来たと言えるだろう。
2回、沖縄工は徳本孝憲が四球を選ぶ。次打者は三振に倒れたが、それならばと盗塁を成功させ一死二塁を作る。次打者が四球で歩くと7番の当たりはサードゴロ。しかしトレーニングで培った力強い打球は平凡なサードゴロではない。球陽・宇良宗弥は、それを良く捕らえた。しかし若干の体勢の崩れが、結果的にセカンド送球の逸れとなり満塁へ。ここで8番前里大樹がライトへ放ち二者が生還した。そして観ている者を感嘆とさせる圧巻の3回へ入っていく。
ヒットと四球で一死一・三塁とすると4番金城立磨がライト前へ運び1点。四球後、安里剛のセンター前タイムリーで2点目、3点目が入る。続く西村瑠将がレフトオーバーを放ち二者が生還。親川奨人にもタイムリーが出て打者一巡するも縄工の勢いは止まらない。トップの新城幹稀がライトオーバーの2点三塁打を浴びせるなど、このイニングだけで打者15人、4本の長打を含む10安打を集め大量12得点を挙げた。
力強い振りから生まれる打球の強さ。これがパワートレーニングの成果の一つだろう。創立115年を迎えた古豪沖縄工。好調な侍ジャパンに似たユニフォームも、その力強さをより引き立てるかのようだ。
敗れた球陽だが、2回に先制されたあと、捕手の徳本から三塁の宇良への牽制で走者を刺すなど、落ち着きと自信あるプレーは決して悪くない。攻撃も1回、4回と得点圏に進めると5回には下位打線で2本のヒットと四球で満塁とした。本塁は遠かったが、打撃にもうひと伸び加われば夏も十分戦える。
1960年、沖縄県の夏を制している沖縄工だが、当時は南九州大会があり、宮崎県代表の大淀の前に倒れ甲子園出場は叶わなかった。近年では2003年夏のベスト4が最高位。聖地の前にまずはこの春、タテジマのダークホースが一気に主役へと踊り出る!
(文・写真=當山 雅通)
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