智辯学園vs高田商
智辯学園が逆転勝利で奈良大会4連覇
福元悠真(智辯学園)
智辯学園は昨秋から準決勝まで県内で負け無しの20連勝中。しかし、決勝戦ではいきなり4連覇に暗雲が立ち込めた。
初回、先発の岩井文飛(2年)が高田商の3番・山崎 智也(2年)に適時打を浴び先制を許すと続く4番の大久保 拓海(2年)にツーランを被弾。わずか12球で3点を失った。
打線はその裏、キャプテン・福元 悠真(2年)の二塁打を足掛かりにすぐさま1点を返すが、その後は岩井と高田商の先発・古川 響輝(2年)の投げ合いが続く。
古川は前日の準決勝も完投している高田商の大黒柱。初回に1点を失ったもののその後のピンチを凌ぐと、強打の智辯学園打線を5回まで2安打に抑える。岩井も初回に痛打を浴びたが小坂監督が「どこで代えようかと思ってたけど、だんだん良くなってきた」と話すように2回と3回は三者凡退、4回と5回は安打を打たれたがいずれも二死からの単打で得点圏に走者を背負わない。
しばらく膠着状態が続いたが6回、高田商は四球で出塁した大久保を三塁に進めると、岩井の暴投で1点を追加。待望の得点でリードを広げた。
3点を追いかける智辯学園は7回、先頭の高塚 勢牧(1年)が本塁打。これで反撃ムードを高めると、6回の守備から出場していた南峠 友祐(1年)が二塁打を放ち、一死後、福元がレフトスタンドへ同点ツーラン。打った瞬間手応え十分だった一打に福元は右の拳を突き上げた。旧チームでは主軸を任されていたが、2回戦から1番を打つ。
小坂監督からは「お前が1番で出てチームを引っ張れ。気持ちを出せるのはお前しかいない」と抜擢された。キャプテンの一振りで試合を振り出しに戻すと、8回には石田 航大(2年)の安打と高塚の送りバントで作った一死二塁のチャンスに南峠が再び二塁打を放ち勝ち越しに成功。50mのタイムが6.1秒と俊足が武器の南峠は、代走で出場した1回戦で打席に立ったがその時は四球。この日放った公式戦初安打から2打席続けて結果を残した。
「高塚が打ってくれたのが大きかった。南峠も活躍してくれた」と2桁背番号の1年生の活躍を喜んだ小坂監督、近畿大会ではこの日打球が速すぎてフェンス直撃の”単打”を放った4番・西岡 寿透(2年)や5番・畠山 開成(2年)ら中軸の爆発に期待を寄せた。
打線の力は旧チーム以上、そんな評判の智辯学園が掲げる目標はただ一つ。全員で優勝旗を返しに行くこと。すでに34本塁打のキャプテンを切り込み隊長に3季連続の甲子園出場を狙う。
(文・写真=小中翔太)
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