大阪商大堺vs日新
強打の要因は安定した守備から
力投を続ける川上雄也(大阪商大堺)
守りに転じて攻撃に移る。
今年の大阪商大堺はまさにそんなチームだろうか。今日含めての3試合はすべて10点以上を奪っているが、最初に目についたのは守備力の高さだ。
静監督は「確かに点を取っていますが、能力的にはそこまで点を取れるチームではないので、無駄な点を与えないために守備力を強化してきました」と話すように、守備の細かいところができている。
捕手、二塁手、右翼手はショートゴロ、セカンドゴロが飛べば、すぐにカバーリングにまわるが、非常に速い。その徹底度がどこの学校よりもしっかりとしている。また各選手の動きの良さ、守備範囲の広さ、肩の強さはどこの学校よりも高く、秋の時点ではかなりレベルが高いチームといえるだろう。
そして主将で正捕手の星沢蓮の存在感が大きい。常に守備位置の指示や、アウトカウントなどしっかりと状況を伝えており、選手たちも動きやすいと評判が良い。
2回裏、パスボールで1点を失い、選手たちは動揺するところがあったようだが、見ていると、3回以降、守備は安定していて、エースの川上雄也も左スリークォーター気味から、120キロ前後のストレートに加え、スライダー、カーブ、スクリューを織り交ぜながら打たせて取る投球を見せ、5回裏を終えて0対1。静監督は選手たちを集めて「低い打球を打とうととしているのでフライアウトは多いのはなぜか。それは最後までボールを見ていないので、打ったつもりになっている。最後まで見て、見送ったり、自分の狙い球をしっかりと打とう」と選手たちへ指示。
静監督が選手を集めた後の6回表からチャンスを作り出し、一死二、三塁から8番久保が二ゴロエラーを誘い出し、まず同点に追いつくと、なお一死一、三塁から9番松本拓真の併殺崩れの間で勝ち越しに成功。7回表には、一死満塁から押し出し、さらに犠牲フライ、1番星沢が左中間を破る適時二塁打で6対2と点差を広げると、8回表には二死一塁から6番福永透吾の適時二塁打でさらに1点。
そして9回表には一死満塁から3番宮風魁人の適時打やパスボールなどもあり、一気に4点を追加し、11対1と点差を広げた。こうしてみると、打撃力があるように見えるが、しっかりと我慢した結果が打線爆発につながったといえるだろう。今はほとんど守備練習に時間を割いているようだが、これでしっかりと打撃面の時間を置くようになり選手の技術、スイングスピードももっと上がってくるとレベルが高い相手にも打撃力を発揮しそうだ。
今年の中では捕手の星沢、遊撃手の宮風は非常にレベルが高い選手。星沢はまだ打撃面で課題はあるが、スイング軌道がムラがなくなり、もう少しインパクトまで最短で呼び込める形になれば安定した打撃ができるようになるだろう。ここまで高校通算11本塁打の宮風は、スイングスピードは非常に速く、打球も速く、チームの中で最も打てる打者と呼ばれている。まだまだしっかりと芯でとらえて切れていないところはあるものの、潜在能力は非常に高い選手で、高いレベルで活躍できるともっと存在感を示しそうな選手だ。そして守備範囲も広く、肩も深い位置からでも強い送球ができる選手。まだ打球処理で甘いところはあるが、攻守ともに安定感が備われば、大阪府でも有数のショートとして取り上げられるのは間違いない逸材だ。
注目記事
・2016年秋季大会特設ページ