知立東vs刈谷
押し出しでもらった虎の子の1点を知立東が継投で守り切る
知立東・近藤颯馬君
前日来の台風の影響を受けて、日程がずれてきた秋季県大会。この日の3回戦も、2球場が中止となった。開催できた刈谷の試合は、プレーボー後は秋の日差しも射してきて、まだまだ暑さを感じさせるものだった。
西三河勢同士の対決となった試合、一次予選の西三河地区1位でシード校の知立東は、初戦は岡崎西に快勝しての進出である。
知立東と刈谷は同地区で、ともに進学校ということもあり、お互いに意識し合っているであろうし、生徒たちもよく知っている間柄だ。
知立東は初回、一死から和田君が二塁打で出ると四球などで満塁としてから大木君が死球で押し出しとなり、貰った形で先制した。
この1点が試合の進行とともに、徐々に貴重で重い1点になっていく。ただ、この時はまさかそのまま、どちらも0行進が続いていくとは思えなかった。
とはいえ、刈谷の石田君は歯切れのいい投球で自分のペースを守って、2回以降はすっかり立ち直っていった。また、知立東も先発の近藤颯馬君は初回に2死球と安打などで満塁としながらも、何とかこらえて、3回も一死で鴻巣君に二塁打されたが何とか凌いだ。そして、知立東ベンチは「当初の予定通り」ということで、4回からは左腕のエースナンバーを背負った中根君がマウンドに立って、4、5回と3人ずつで抑えていって、自分の投球リズムを作った。
こうして、刈谷の石田君と知立東の中根君の投げ合いは、お互い走者もあまり出させず淡々と進んでいって、9回も刈谷の代打攻勢を3人で交わして継投完封で逃げ切った。
「打てるチームではないのですが、これまでで一番打てない試合でした。それでも、こちらも点を取られませんでしたから…」と、今春から就任した岸田 幸大監督は苦笑しながら語っていた。「ロースコアになることはわかっていましたけれども、3回まで先発した右(近藤君)がよく踏ん張ってくれました」と、何とか点を与えないで守りきれたことは、ある意味はチームの持ち味としての戦い方でもあるようだ。
知立東投手陣の好投に、刈谷も初回の反撃機を逃して以降は、これというチャンスらしいチャンスも作り切ることができなかった。特に、秋の新チームは打てない試合になると、こういう展開もよくあることではあるが、そんな中でお互いに大きな守りのミスがないということで、試合は引き締まった。守り合い、凌ぎ合いになればなるほど、一つひとつのプレーが大事になってくるのだが、そのあたりはお互いにきっちりと夏の練習の成果を示していたといってもいいであろう。
知立東はこれでベスト8に進出が決まった。「これまでまだ、一度も私立校と当っていませんから、ラッキーと言えばラッキーなんですけれども…」と巽隆男部長は言うが、やはりチームとしてきちんと基本を踏襲していることで、大きなミスをしないチームとなっているのだろう。
刈谷も4安打しか放てなかった。終盤は7回に二死から連打と捕逸で二三塁として3番の石田君という場面があった。岡田 泰次監督としても、ここが勝負どころかと思ったであろうが、中根君が投げ勝った。
(文=手束 仁)
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