試合レポート

明徳義塾vs嘉手納

2016.08.16

明徳義塾、しつこい打撃と堅実な守備で嘉手納に圧勝!

 前橋育英を強打で破った嘉手納前橋育英の投手陣のレベルも高く、明徳義塾の投手陣でさえも打ち崩すのではないか?と注目されたが、明徳義塾の試合巧者ぶりが際立った。

 先制したのは明徳義塾だった。3回表、一死から西村舜の安打から始まると、ワイルドピッチと中飛で三塁まで進み、二死三塁から相手の失策で1点を先制。まだ傷が浅い失点の仕方と思えるが、明徳義塾はこの1点で間違いなくリズムに乗った。

 4回表にも一死一、三塁のチャンスを作り、今井 涼介の適時打、さらに1番立花虎太郎の右前適時打で2点を追加し、4対0とした明徳義塾。これで勢いを掴んだ明徳義塾は、5回表にも、古賀 優大大北海斗の連続二塁打で1点を追加。そして6回表には一塁守備で好守備を見せていた3番西浦颯大が満塁本塁打。6回まで10対0と大量リードをするのだ。さらに相手のエラー等を絡め、13得点を入れた

 鳥取境戦(観戦レポート)に比べると今日の打線はねちっこい。嘉手納仲地 玖礼は決して悪い出来ではなく、130キロ前後のストレート、120キロ前後のスライダー、120キロ前後のツーシーム、110キロ前後のカーブを低めに丹念に投げ分ける投手。打ち気をそらして打たせて取る思惑だったと思うが、今日の明徳義塾打線はとにかく粘る、粘る。またストライクゾーンに入ったストレートを逃さずヒットにしたり、逃げるスライダーに対しても。打ち返したりと、ねちっこさがあった。今回、取り上げたい打者は2番西村、3番西浦だ。

 西村 舜は、前チームでは代打の切り札、新チーム以降では、5番打者として活躍を見せていたように、2番とは思えないほど打撃力を見せる選手である。西村の最大の持ち味は、打てるポイントが広いことだ。スクエアスタンスで、ゆったりと構える姿には力みがなく、実にバランスが取れた構えをしている。トップに入ってからインパクトに入るまでの動きに無駄がなく、外角、内角、どのコースに対しても打ち返せる技術の高さがある。

 そして満塁本塁打を放った西浦 颯大。本塁打を打った球は甘めのストレートだったが、それを逃さず打ち返せるようになった。 スクエアスタンスで構え、トップをしっかりと取ってから、やや前裁きでボールを捉える選手だが、[stadium]甲子園[/stadium]では外角を強く叩いて、鋭いゴロ、ライナー性を飛ばすことができており、まだ体の力が足りないだけで、これから肉体的な強さに加え、今回の試合ぐらいの集中力でやっていけば、もっと結果を出せる選手だと思う。もともと外野手だが、今回は一塁手。打撃重視の起用と思いきや、守備もしっかりと評価しての起用。明徳義塾の内野手たちが次々と好フィールディングを見せるが、送球がワンバウンド、ショートバウンドになる事が多い。そんなバウンドに対しても西浦は難なくさばくことができていた。

 新チームになれば、外野手になると思うが、いろいろ器用な選手であることが分かったので、今後も、一塁・外野を兼ねながら、長打力を大きく伸ばしていけば、北川倫太郎(現・楽天)以上の評価を受ける可能性もゼロではないだろう。今回の[stadium]甲子園[/stadium]の活躍を上達のきっかけにしてほしい。 

 また懸念とされていた投手については。エースの中野恭聖が130キロ~135キロ前後の直球、カーブ、カットボール、チェンジアップを低めに丹念に投げ分け、打たせて取る投球。リードする古賀優大も構えを低く屈めながら、また安定したキャッチングで次々とストライクコールを響かせた。

 敗れた嘉手納だが、8回裏、6連打を見せて13対5まで追い上げたように、打力は見事だった。その中でも面白いのは3番手で登板した仲井間 光亮。普段はライトで守っている選手だが、守備範囲は広く、強肩。打っても、スイングが鋭く、右、左に打ち分ける打撃は魅力。投手としては、左腕から繰り出す130キロ前半~130キロ中盤の速球にはキレがあり、スライダー、カーブの切れもなかなかで、将来的には常時140キロ台も期待できる投手であった。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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