中京vs大分
中京の強力なクリーンナップが爆発し、1回戦を突破!
甲子園2日目の第2試合目の試合は中京対大分の対決。中京は強力な打線を率いて夏の甲子園に14年ぶり6回目となる月日を経て帰ってきた。それを迎え撃つは、2年ぶり2回目の甲子園出場を果たした大分。今年の大分は投手陣をがっちりと固めてきており、地方大会の5試合中4試合は2失点以内と投手力の高さを見せている。
しかし、試合を一方的にリードしていったのは打の中京。中京は初回から鮮やかな攻撃を見せていく。先頭の渡辺 豪が綺麗なセンター前で出塁すると、相手の守備がもたついている間に二塁を陥れ隙のない野球を見せつけていく。続く2番加藤 壮太はバントで送り、3番北川 竜之介がきっちりとセンタ前へのヒットであっさり1点を先制していく。
2回にも1点を追加した中京だが、4回、8回の2イニングだけで10得点を奪うのだがその2イニングの中京打線は圧巻であった。高校通産本塁打68本の今大会注目スラッガー4番・今井 順之助や1番・渡辺を軸に抜け目のない打線でどこからでも点を取ってくる。
特に恐ろしいのがやはり3番・北川、4番・今井、5番・吉位 翔伍のクリーンナップ。この試合では3人だけで8安打を放っている。だが4番の今井は2安打を放っているもののまだ本調子までは上げられている感じは受けられない。しかし、北川は4回に飛び出した綺麗な放物線を描くライトへの満塁ホームラン。吉位は弾丸ライナーでライトスタンドに突き刺さるツーランホームラン。4番が調子が出ていなくともこの二人がしっかりとカバーしている風に受け止められた。
中京は大分の4人の投手陣を完全に打ち崩し、勝利をつかんだ。出場選手10人中8人がヒットを放っていてこの試合は16安打12得点。今年のスローガンである「一投一打」を胸に14年ぶりに甲子園の地に帰ってきた圧巻の中京打線が、この夏、台風の目になるかもしれない。
投の大分であると思っていたが、中京打線に負けず劣らずの打力を放っていた。序盤2点のリードを許すものの、3回裏に先頭の冨田 柳汰朗がライトへのスリーベースで出塁すると、1番束野 克実が飛距離十分な犠牲フライを放ち、2人で1点を返していく。その後、3番佐藤 陸・5番沼本 大河のヒットなどでさらに1点を追加し、2対2の同点として序盤を終えた。
8対2で迎えた、6回は途中からマウンドに上がっている野中が先頭で出塁すると、この試合絶好調の冨田がその日3本目のヒットとなるツーベースで無死、二、三塁として1番束野がレフトへのタイムリーヒットで1点を追加する。7回にも同様の攻撃をして1点を追加するが、そこから2点、3点と繋げることができなかった。しかし、大分の攻撃は下位打線からチャンスを作り、上位打線が返していくという打線で理想的な攻撃を見せてくれた。
投手面に関して大分は、左腕のエース石本 勝也のコントロールの乱れが目立っていた。3回を途中まで投げ、四死球は4、被安打9の結果である。ストライクとボールの差が大きく内と外をうまく使うことができず、中京打線に掴まった。石本は、高校野球界でも珍しい左サイドスローのピッチャーであるが、ストレートと変化球を織り交ぜながら内と外に出し入れをしていき地方大会を勝ち上がってきた。石本の他にも、立花 一樹、岩崎 昇、野中 克浩などの厚い投手陣を誇っている。しかし、この4人の投手陣はいずれも3年生達である。これから大分はどういった投手を育ててきてくれるのか期待すると共に、チームスローガンである「頂」に登る雄姿を是非とも見てほしい。
中京と大分の大きな差は、投手力の面においてはそれほど力の差に大きな差あまりなかった。打撃面においては、中京は打線として成り立っていたが、大分は打線ではなく個々の打撃という感じが受けられた。大分は、個々の能力が高かった分打線として機能していたら中京を打ち負かしていたかもしれない。全国制覇を目標とする大分は、この悔しさを糧に変えて一回りも二回りも大きくなった大分ナインを見れること期待したい。
(文=藤井秀磨)
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