試合レポート

中越vs加茂暁星

2016.07.24

中越、粘る加茂暁星振り切り、連覇へ大手

 準決勝第2試合は、夏の大会連覇を狙う中越と、37年ぶりにベスト4へ進出した加茂暁星が対戦。この夏いちばんと思える強い日差しがグラウンドに差し込む中、1、2年生主体のチームで勢いに乗る加茂暁星が、強豪・中越に挑んだこの試合も、準決勝らしい好ゲームとなった。

 加茂暁星の先発は、エースの宮島拓斗(2年)。前の試合(長岡大手戦)で九回118球で完封し、中1日となったこの日のマウンド。先頭打者を打ち取るが、2番・大越晃(3年)にライトオーバーのスリーベースを許し、いきなりピンチを迎える。だが、ここは落ち着いて中越のクリーンアップを打ち取り、先制を許さない。

 一方、中越先発・今村豪(3年)も、立ち上がりヒットでランナーを許すものの、得点を許さない。試合が動いたのは二回裏、一死から、加茂暁星6番・中野翼(1年)が、今村の投じたインサイドのストレートをコンパクトに叩くと、打球はグングン伸び、レフトスタンドへ突き刺さるソロホームラン。加茂暁星が1点を先制する。

 ランナーを出しながら、要所を締めるピッチングで、スコアボードに0を並べてきた宮島だったが、四回、中越打線に捕まる。3番・坂井琢真(2年)、4番・西山侑汰(3年)、5番・串田大地(3年)の3連続シングルヒットで1点を返し、同点に追いつく。

 さらに六回表、中越はヒットと2つの四球で無死満塁と絶好のチャンスを迎える。だが、ここで宮島が踏ん張り、8番・広川健介(3年)を空振り三振、8番・今村をライトフライ(打球がライナー性のためタッチアップできず)に打ち取り二死までたどり着く。

 だが、9番・岡田拓磨(3年)に四球を与え、押し出しで1点。さらに1番・齋藤隆弥(3年)の打席で、投球時、一塁ランナーが飛び出す。

 キャッチャーが慌てて、けん制するが、その間に走者が生還。さらに挟殺プレーが乱れる間に二塁ランナーも返り、中越が3点のリードを奪う。

 中越は七回にも、100球を越え、疲れが見え始めた宮島を攻め、2本のヒットと犠飛で2点を追加。6対1とリードを広げる。このまま中越が押し切るかと思われたが、加茂暁星が終盤粘りを見せる。

 八回、五回途中から今村をリリーフし、好投してきた中越2番手の須田崇仁(3年)を攻め、先頭の伊藤翔(2年)が左中間を破るツーベースで出塁すると、9番熊倉眞也(2年)もレフトオーバーのツーベースでまず1点。さらに中継が乱れ、熊倉が三塁まで進むと、続く打者の内野ゴロで、1点を返し、6対3。

 さらにこの後、3番・平林渉(2年)が内野安打で出塁するが、得点につながらない。迎えた最終回、一死から6番・中野が相手エラーで出塁するも、7番・内山和(3年)がショートゴロ併殺打に倒れ、ゲームセット。

 6対3で中越が、粘る加茂暁星を振り切り、2年連続で決勝に進出した。

(文=町井 敬史)

エキサイティングチーム 加茂暁星

 勝ち上がるたびに、チームが結束力を増し、日に日に強くなっていった。

 今夏の加茂暁星はそんな印象だった。

 思い返せば春の大会、4強入りを懸けて戦った長岡大手戦では、先制するも徐々に離され、終わってみれば、3対13の五回コールド。

 一方的な試合展開の中、押切監督はエースの自覚を促すためなのだろうか、宮島をあえて完投させた。

 その後も、北越との練習試合で今大会でも好投した控えの小林太郎(3年)に六回無安打に抑え込まれるなど、大会が始まる前まで、チーム力が抜群に高いわけではなかった。

 だがそこは、激戦区・神奈川の強豪でコーチをしていた押切監督。選手の起用法、モチベーションをうまくコントロールし、準々決勝では春コールドの負けの長岡大手にシャットアウト勝ち。見事リベンジを果たした。

 だが、その前に中越がたちふさがった。連投から疲れの見える宮島が四球から満塁のピンチを作り、押し出しで1点を勝ち越される。

 ここで次の1点がどうしても欲しい中越は、投球後に一塁ランナーが二塁に向かって飛び出す。当然、キャッチャーは、一塁へけん制を入れ、一、二塁間での挟殺プレーの間に三塁ランナーが本塁を突き、1点。

 さらに一、二塁間のランナーが追い込まれる間に2塁ランナーも一気に生還し、3点差。1、2年生主体のチームの経験の少なさが生んだ隙につけこむ実力校らしい多彩な攻撃。

 加茂暁星を突き放した。 唯一の3年生・小島広雅(3年)を中心にまとまりを見せてきた加茂暁星は、新チームでもレギュラー陣がそのまま残る。一変して経験豊富なこのチームが、秋の大会ではどのような戦いを見せるのか。期待したい。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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