日体大荏原vs東京
打ちまくる荏原打線を引っ張る1番ショート・酒井盛光の存在
校名変更後、初の夏の公式戦に臨んだ日体大荏原は初回から一気に畳みかけた。
1回裏、1番酒井盛光(3年)が左前安打で出塁。一死一、二塁となって、4番森山陽介(3年)の敵失で1点を先制すると、5番井坂優大(3年)が左中間を破る適時二塁打で2点を追加。さらに3回表にも一死二、三塁から3番小俣陸(3年)がライト線を破る適時二塁打で2点を追加するするなど一気に3点を追加。3回裏にも一死一、三塁のチャンスを広げ、小俣の犠飛で7対0とする。
打ちまくる日体大荏原で目を惹いた野手は1番の酒井(右投げ右打ち・173センチ71キロ)。1打席目、2打席目で安打を放った酒井は基本的に内野の間を抜く打球を打つ右打ちの好打者だ。的確に捉えることができるミートセンスの良さが光るが、何より良いのは、守備である。シートノックから軽快な守備を披露。弱い打球に対してのチャージ、捕球から投げるまでの無駄のなさ、身のこなしの良さ、スローイングの確実性の高さと目を惹くものを持った選手といっていいだろう。そして5回裏には一死二塁から初球のストレートを打って左中間を破る適時三塁打。甘い球を見逃さない姿勢、前向きなプレースタイル。技術、メンタル、スピードを兼ね備えた遊撃手として次のステージでも活躍を期待できるショートだといっていい。
さらに5回裏、サヨナラとなる2点タイムリーを放った小俣もバットコントロールの良さを持った野手の1人だ。コールド勝ちを決めた日体大荏原。守備を見ていても、身のこなしの良さを持った選手が多く、守備の1つ1つのプレーに連動性があり、鍛えられていることが伺える。強豪校相手に競り合いを演じることになると思うが、しっかりと乗り切れるような守備力の高さは実感させた。
敗れた東京だが、ボールにしがみつく姿勢、全力プレーが徹底されており、またブラスバンドの応援もレパートリーが豊富で、壮大。見ているものを虜にさせるチームであった。
(文=河嶋 宗一)
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