試合レポート

二松学舎大附vs日大鶴ヶ丘

2016.04.07

日大鶴ヶ丘追撃及ばず、二松学舎大附・大江要所を締める

二松学舎大附vs日大鶴ヶ丘 | 高校野球ドットコム

大江投手(二松学舎大附)

 ようやく春の日差しの中で行われた神宮第2球場の第1試合は、二松学舎大附日大鶴ヶ丘という、2年前の東西東京大会の優勝チーム同士の対戦になった。秋季都大会準優勝の二松学舎大附は、3回戦からの登場。秋は遊撃手であった三口英斗が三塁手になり、遊撃手には、昨年のセンバツは遊撃手で出場し、秋は主に代走要員であった島根寛人が、遊撃手に戻った。

 二松学舎大附の先発は、絶対的なエースの大江竜聖。1回表大江はあっさり2人を打ち取ったが、3番飯田壮咲が中前安打で出塁すると、主将で4番の羽根龍二は、ライトフェンス直撃の二塁打を放ち、日大鶴ヶ丘が1点を先取した。

 一方、大江の調子は今一つのようにみえた。大江は、「少し緊張していました」と語る。東京の高校球児で、彼ほど経験豊富な投手はいない。その大江をして、今年最初の公式戦には緊張するのだから、やはり初戦は難しい。
それでも、二松学舎大附はすぐに反撃する。日大鶴ヶ丘の先発は、背番号15の3年生右腕の安西雄太郎だ。安西はいきなり、二松学舎大附打線につかまる。

 一死後、2番島根は死球。3番市川睦が内野安打で出塁すると、4番永井敦士がレフト線に痛烈な二塁打を放ち、同点に追いつく。さらに5番今村大輝は四球で一死満塁と、6番平野潤の中犠飛で逆転。さらに7番大江が流し打ちした打球は、レフトフェンスを越える3ランになった。この本塁打について大江は、「たまたまです」と語るが、大江は、投げるだけでなく、打撃のセンスもいい。
 1回裏だけで二松学舎大付は5点を挙げ、一方的な試合になるかに思えたが、2回以降は、日大鶴ヶ丘の安西も立ち直る。
 二松学舎大付の市原勝人監督は、「5点が入って落ち着いてしまいました。ゼロの回が2回以上続くと、相手に点が入ると思っていました」と語る。


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羽根(日大鶴ヶ丘)

 2、3回は二松学舎大附が無得点で終わると、4回表、日大鶴ヶ丘の7番井上洸貴は、レフトフェンスを越える本塁打を放った。これが、球場が狭い神宮第2の怖さであり、ここから日大鶴ヶ丘のペースになる。
続く8番平松慎之介の二塁打、9番安西の左前安打で一死一、三塁とし、1番高島凱哉の中犠飛でさらに1点を挙げた。

 さらに5回表も、5番金井浩晴の左前安打、6番木上雄成のライト線の二塁打で1点を挙げ、1点差に迫った。
 6回裏二松学舎大附もようやく引き離しにかかる。四死球の走者を2人置き、1番三口は右中間を破る二塁打を放ち、2点を挙げる。さらに市川の右前安打などでこの回一気に4点が入った。
 それでも日大鶴ヶ丘は7回表に、安打2本と四球で無死満塁のチャンスをつかむ。けれども、ここから大江はギアを上げ、続く打者を、内野フライ2つに三振で仕留めた。8回、9回も大江は日大鶴ヶ丘を三者凡退で抑え、9-4で二松学舎大附が勝利した。

 敗れたとはいえ、日大鶴ヶ丘は好投手・大江から10安打を記録した攻撃は見事であり、またしても実力のある学校が、夏のシードを逃した。その一方で、日大鶴ヶ丘の萩生田博美監督が、「ここ一番はやはりすごいですね」と語るように、ギアが上がった時の大江の投球は、迫力がある。ただ、大江自身も気付いていることであるが、ギアを上げるタイミングがやや遅いのも確かだ。それにこの試合では、「スライダーが高めに行ってしまい、ストレート中心の投球になりました」と大江が言うように、直球勝負は、はまると相手を勢い付かせることがあり、それが、この日の苦戦の要因にもなった。

 二松学舎大附の市原監督は、「(夏の)シードがかかった試合に勝ったことは、大きい。チームは生もので、1日経つと変わってしまう。それでも、ここから頑張らせます」と、ここから本領を発揮していくことを誓った。

(取材・写真=大島 裕史

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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