早稲田実業vs都立町田
清宮高校通算36号!早稲田実、都立町田を圧倒
本塁打を放った清宮 幸太郎(早稲田実)
例年4月2日くらいだと、スタンドはまだのどかさが漂っている。しかし、注目の清宮 幸太郎(早稲田実)が登場するこの日は、時おり肌寒い風が吹く曇天にもかかわらず、スタンドは熱気に溢れていた。
早稲田実の先発は背番号10、3年生の吉村優。1回表、都立町田の1番・島村佳佑は吉村の4球目を右前安打。2番・小林健吾の遊ゴロで二進し、吉村の暴投で三塁へ。3番・窪田 晃也の三ゴロで島村が還り、都立町田が1点を先取した。
ところが、都立町田のリードはあっという間に覆される。早稲田実は秋に比べ、メンバー、打順、守備位置などがかなり入れ替わった。1番に入るのは、秋は4番だった主将の金子 銀佑。秋はチーム事情で4番であったものの、彼の持ち味を生かすのは、1番の方だろう。
その金子は、1回裏いきなりライトオーバーの当たり。俊足を飛ばして三塁打にした。2番・西田 燎太は四球。3番・橘内 俊治の中前安打で同点。続く4番に入った清宮は左前安打。5番に起用された一塁手の工藤 航輔の中前安打で2人が還り逆転する。
さらに秋は1番であった6番・小掛 雄太の三ゴロで、この回4点目が入った。ここまでの展開だと、いったい何点入るかという感じであったが、都立町田の先発・宍戸 海輝も踏ん張り、後続を断つ。3回裏には工藤のセンターへの打球を、都立町田の中堅手・窪田が好捕し、都立町田も健闘する。
2安打の島村(都立町田)
4回表に都立町田は、野口 大護、千葉 知輝の安打などで一死一、二塁とし、7番・小松崎 拓真はセンターへの打球。中堅手・清宮は、最初は打球処理にやや手間取ったものの、落ち着いて本塁に送球し、本塁を突いた二塁走者を刺した。
その裏早稲田実は、二塁打の7番小西優喜を犠打と犠飛で還し、さらに1番の金子がレフト柵越えの本塁打を放った。
5回表から早稲田実の投手は、2年生ながら経験豊富なエースの服部 雅生が登板。立ち上がりはやや調子が出ないのか、野口に中前適時打など3安打を許し、1点を奪われる。
直後の早稲田実の打順は清宮から。都立町田はこの回から西内 悠太が登板する。清宮は西内から、隣の[stadium]神宮球場[/stadium]のレフトスタンドに入る大ファールを打った後、「打った瞬間入ったと思った」と清宮が語るように、特大の本塁打を放った。
この一発で、早稲田実は完全に活気づき、6回表を服部が三者凡退に抑えると、金子がこの日3安打目となる三塁内野安打を放つ。6回裏は3安打に、清宮への押し出しの四球など3四死球に失策も重なり一挙5点を挙げ12対2の6回コールドが成立した。
3番・橘内、5番・工藤など新たなメンバーを入れて臨む春の早稲田実であるが、「3番に入った橘内は、初めてなので、緊張していたのではないか」と和泉監督。メンバーとしては、まだ試行錯誤の段階で、「新1年生が入り、夏なって変わるかもしれない」と和泉監督は語る。
やはり金子と清宮の活躍が目立っていたが、逆に言えば、彼らに続く打者がどこまで出てくるかがカギになる。
一方都立町田は、1回と6回に大量点を奪われたが、中盤には好守備もあった。早稲田実と力の差があるのは致し方ない。それでも、悔しさをどれだけ胸に刻むかが、今後の飛躍のカギとなる。
(取材・写真=大島 裕史)
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