試合レポート

二松学舎大附vs早稲田実業

2015.10.13

鳥羽サヨナラ打で二松学舎大附、早稲田実を破る

好投した1年生右腕・服部 雅生(早稲田実業)

 午前9時開始のこの試合、6時には既に20人ほどが並び、開門の7時半には約400人が列をなし、開門すると内野席はほぼ埋まった。観衆は約4000人。外野席まで立ち見が出た。2回戦で顔を合わせるにはあまりにもったいない好カード。

 早稲田実は1年生右腕の服部 雅生二松学舎大附は2年生左腕の大江 竜聖と、ともにエースが先発した。

 1回表大江は早稲田実の1番、2番を連続三振に仕留め、3番の清宮 幸太郎も遊ゴロで三者凡退という好調の立ち上がり。3回表も7番から9番までを三者三振に仕留めるなど、序盤は完璧な投球。

 一方服部は、2回裏に二松学舎大附の4番永井 敦士と7番遠藤 聖生という1年生の2人に安打を許したものの、無得点に抑えた。

 大江は4回表の二死まで1人の走者も許さず、奪三振も7と絶好調。ただ飛ばし過ぎの感じはあった。
「初回は全力で行こうと思っていましたが、2回以降も力が入り、中盤にバテてしまいました」と大江は語る。

 大江攻略のきっかけはやはり清宮であった。4回二死から打席に入った清宮は、4球目を叩き右中間を破る二塁打。チーム初安打で初出塁であった。

「甘く抜けたスライダーでした。捉える技術はすごいです」と大江は語る。この回は無得点に終わったものの、5回裏は一死から6番小西 優喜がセンターオーバーの二塁打を放つ。7番渡部 貴大も右前安打で続き二、三塁。8番服部の一ゴロで小西は本塁を突くもアウトになり、早稲田実は先制のチャンスを逃した。

 しかし6回表は四球の1番小掛 雄太を2番吉木 駿人が送り、打席には清宮が入る。清宮は7球目を中前安打にし、小掛が還って1点を先取した。

 投手力が課題と言われていた早稲田実であるが、服部が力のあるボールを低めに決めて、二松学舎大附に得点のチャンスを与えない。
「ちょっとシュートしているようで、打ちづらそうでした」と、二松学舎大附の市原 勝人監督は語る。しかも二塁手の中岡 凛太郎や遊撃手の金子 銀佑らが好守備で、服部を助ける。

 8回裏には一死一塁の場面で、大江の痛烈な一ゴロを清宮が好捕して満員のスタンドが沸いた。それでも二松学舎大附の市原監督は、「9回に必ずチャンスが来る」と言い続けていたという。


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成長が光った大江 竜聖(二松学舎大附)

 大江 竜聖は8回までに138球を投げており、足がつっていた。しかもこの回の先頭は清宮 幸太郎
「先頭だったので、全力で抑えに行きました」と大江が語るように、この日2本の安打を記録している清宮は、三振に終わり、この回無得点。

 そして二松学舎大附の市原監督が「必ずチャンスが来る」と語っていた9回裏を迎える。その言葉通り、先頭の1番三口 英斗は相手二塁手の失策で出塁する。畳み掛けるように、2番鳥羽 晃平へのエンドランは、左前安打となり無死一、三塁。3番の1年生・市川 陸がしっかりセンターへの犠飛を放ち、二松学舎大附は9回に同点に追いついた。しかし早稲田実服部 雅生もここは踏ん張り、サヨナラは許さない。両エースとも疲労は隠せないが、気力を全面に出して投球する。

 延長10回表、先頭の7番渡部 貴大は左前安打、8番服部の一塁へのバントは、一塁手の二塁への送球が暴投となり一、二塁(記録は野選)。9番中岡 凛太郎のバントは投手への小ライ。大江がダイブして捕球しようとしたが、届かなかった。ただし2人の走者のスタートも遅れ、渡部は三塁でアウト。得点を許さない。

 そして10回裏、今度は先頭の大江が放ったセンターややライト寄りの鋭いゴロの打球は二塁打となる。続く9番鈴木 勇成のバントは内野安打になった。そして2番鳥羽がレフトにサヨナラ安打を放ち、熱戦に終止符が打たれた。

 投手力が弱いと言われていた早稲田実服部 雅生の好投が好ゲームをもたらした。清宮の安打で先制した時は、早稲田実の勝ちパターンとも思えたが、それでも逆転負けをし、勝負の厳しさを実感したことは、今後の成長につながるはずだ。敗れはしたものの、大いなる可能性を秘めたチームであることは間違いない。

 二松学舎大附では、やはり大江の成長が光る。昨年の夏は「怖さ知らずの1年生」であったが、経験を積み、力強さの中にも、上級生らしい投球ができるようになった。さらにサヨナラ打の鳥羽や同点犠打の市川ら1年生も活躍しており、二松学舎大附は、1年生と2年生のバランスが非常にいい。

 この試合、二松学舎大附の市原監督が、「まるで決勝戦みたいでした」と語るように、観客の熱気、プレーの質をみても、決勝戦のようにレベルの高い熱戦であった。もっとも市原監督は、「終わったと思ったら、次は日大三高ですからね」と苦笑いする。3回戦の日大三との試合もまた、レベルの高い好試合になりそうだ。

(文=大島裕史


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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