試合レポート

横浜vs桐光学園

2015.10.04

4安打完封を見せたエース藤平 尚真!横浜が県大会を制す!

力闘を見せる 藤平 尚真(横浜)

 試合開始前には、ほぼ満席状態となった[stadium]サーティーフォー保土ヶ谷球場[/stadium]。秋晴れのもとで行われた、秋季神奈川県大会決勝、横浜桐光学園の一戦。2校は、この夏の準決勝(試合レポート)でも戦っており、その時は延長戦にもつれ込む接戦の末、横浜が4対3のサヨナラで桐光学園をくだした。

 渡辺 元智監督の勇退にともない、この秋から新生横浜として始動したチームは、県大会5試合を終えて46得点、8失点、2回戦の湘南工大附戦以外は全て二桁得点以上と圧倒的強さで勝ち上がってきた。対する桐光学園も、県大会5試合を戦い、27得点8失点。好ゲームが予想されたこの試合は、期待を裏切らない白熱した展開となった。

 まず、試合前の練習から両チームのカラーが出るものとなった。
桐光学園のキャッチボールは、捕球後に次のプレーを意識して、すぐに投げ返す選手が多くいる。対する、横浜は、握りを確認してから投げ返す、ゆったりとリラックスしたキャッチボールを展開。さらに、シートノックでは、さすがは横浜と言える、スピード感のある流れるようなノックが印象的であり、一桁背番号をつける内野陣のグラブ捌きは圧巻であった。一方の桐光学園は、外野バックホームの後も外野は守備位置にとどまり、内野外野の際どいゾーンでのフライ捕球練習など、多くのチームに見られる一人ずつノックを終える形ではなく、時間を一杯につかったノックが特徴的であった。

 じっくりと練習を行った桐光学園と、メリハリをつけて練習を終えた横浜。それは、試合が始まってもチームカラーとして現れてくこととなった。

 試合は、桐光学園が先攻で始まる。
守備につく横浜のマウンドに上がるのは、昨日の横浜翔陵戦(試合レポート)も7回からマウンドに上がった、エース藤平 尚真。速球派右腕として注目を集める藤平は、立ち上がりをしっかりと三人で締め、さらに、2回には三者連続三振を見せるなど、会場を沸かせる。対する桐光学園も、先発石山の好投が光り、同じく1回2回を三者凡退とし、横浜打線を封じた。


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2015年秋季大会

ピンチながらもマウンドで笑顔をみせ、落ち着く内野陣(横浜)

 試合が動いたのは3回裏の横浜の攻撃。
この回先頭の藤平は三振に倒れるも、8番福永が、この日チーム初ヒットとなる左安打で出塁。続く9番渡辺は、凡退するも、1番戸堀が右安打でチャンスメイク。二死一、三塁となり、迎えるは2番遠藤。遠藤は、横浜スタンドの大きな声援に答えるように、適時右安打を放ち、見事1点を先制することに成功した。

 さらに、4回裏にも試合は動く。
 
桐光学園は、この回から継投策を取り、昨日の日大高戦(試合レポート)でもマウンドに上がった大河原に投手をスイッチ。後には、エースナンバーをつけるアンダースロー、中川 颯も控えており、じっくりと試合を展開することを試みる。しかし、横浜・先頭打者増田は、この代わったばかりの大河原から中前安打を放ち、流れを引き寄せる。その後は、3つのバッテリーエラーが続き、走者の増田が生還。2対0と横浜がリードを広げた。

 なんとか反撃をしたい桐光学園は、直後の5回表に打って出る。
先頭打者、代打辻が中前安打を放ち出塁。さらに、6番渡邉は堅実に犠打を試みると、打球は横浜・投手藤平 尚真のもとへ。藤平は迷わず二塁に送球するも、判定はセーフとなり、無死一、二塁。続く、7番塚目は犠打失敗となるが、先ほどの犠打処理から、横浜バッテリーに動揺が生まれたのか、パスボールで一死二、三塁のチャンスを桐光学園が作ることに成功した。

 一気に同点となるかと思われた桐光学園

 しかし、ここで横浜の強さが垣間見える瞬間が訪れる。
一死二、三塁、一打同点のピンチで、マウンドに集まる内野陣。しかし、その表情は、切迫したものではなく、誰かが冗談でも言ったかのように盛り上がっていた。これにより、投手藤平もリラックスし、後続を三振、ファーストフライに打ち取ることに成功。ミスから流れが変わるかと思われた瞬間に、選手達自身で良い雰囲気を作ることができる。それが、横浜の強さであった。


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 さらなる追加点が欲しい横浜は、6回裏に動いた。
先頭打者2番遠藤が左安打で出塁。すると、桐光学園は背番号1をつける中川 颯へ投手交代。中川はアンダースローから投げるテンポの良い投球で、後続を打ち取り、二死二塁とする。しかし、横浜打線がここから襲いかかる。打席に立つのは、昨日の先発であり、本日は5番ライトで出場する石川 達也。石川は、フルカウントとなった場面から粘りを見せ、左適時打を放つことに成功。横浜が欲しかった追加点を得た。さらに、6番村田も適時打を放ちもう1点。結局、この回2得点を挙げ、横浜が4対0とリードを広げることに成功した。

 そして、優勝が見えてきた終盤。
連投の疲れが見え始める頃となったが、エース藤平 尚真は落ち着いた投球を続ける。外野一人一人に声をかけ、ロジンバックに触れるなど、独特の間を作ることで、自分の投球ペースを崩さない。打者としては、気づかないうちに、藤平の投球リズムに乗せられる形となり、打線がつながらない。最終9回表には、二死から桐光学園に安打を許すも、ここでも、セカンド戸堀がマウンドに駆け寄り、一息をつく。最後は、落ち着いた藤平が三振を奪うことで試合終了。9回を一人で投げ抜き、許した安打は4本。連打はなく、完璧な投球を見せた藤平は、完封勝利で横浜を県大会優勝へと導いた。

 両チーム無失策で、引き締まった戦いとなった秋季神奈川大会決勝。
堅実な野球をじっくりと展開する桐光学園は2年連続4回目、好投手藤平 尚真を有し、メリハリのある野球が魅力的な横浜は2年ぶり21回目の関東大会に出場する。その先には、来春の選抜が控えており、この夏、甲子園を制した東海大相模の甲子園優勝旗に加えて、選抜優勝旗の二つが神奈川県のものになるか。関東大会での二校の活躍に期待がかかる。

(文=高校野球ドットコム編集部)


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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