日本文理vs五泉
投打盤石!日本文理コールドで決勝進出
廣瀬 生成(五泉)
準決勝第二試合には、ここまで圧倒的な強さで勝ち上がってきた日本文理が登場。新チーム結成後、練習試合を含め、30戦以上無敗と勢いに乗る五泉との試合は、ミスをきっかけに思わぬ展開で幕を閉じた。
日本文理の先発は、今夏も主戦として投げ、新チーム結成後は稲垣 優人(2年)、稲垣 豪人(1年)とともに三本柱を形成する藤塚 光二郎(2年)。藤塚は立ち上がり、五泉の2番・伊藤 匠(2年)に投手強襲ヒットを打たれるが、後続を抑える。
するとその裏、日本文理打線は五泉先発・廣瀬 生成(2年)を攻め、当たっている1番・齋藤 輝一(2年)がセンター前ヒットで出塁。2番・寺杣 直泰(1年)が送りバントを成功させると、こちらも当たっている3番・荒木 陵太(2年)がライトへタイムリーを放ち、先制。荒木は二塁を回ってもスピードを緩めず、三塁を陥れる。続く、4番・川村 啓真(1年)もセンター前へ運び、荒木が生還。リードを2点に広げる。
二回以降は、日本文理・藤塚、五泉・廣瀬の両先発が粘りのピッチング。両投手ともランナーを出すものの、あと一本を許さず、スコアボードに0を並べる。0対2の膠着状態のまま、中盤へ。
再び試合が動いたのは六回裏。日本文理は二死一、二塁のチャンスを迎える。ここで8番・藤塚はサードへゴロを放つが、これが三塁手の悪送球を誘い、2点を追加。さらに二死二、三塁へチャンスを広げると、1番・齋藤のセンターへの打球を、センターがグラブに当てながら落球。この間にさらに2人が生還し、リードを6点に広げる。
勢いに乗る日本文理は、七回にも五泉3番手の蒲沢 仁士(1年)を攻め、荒木のツーベース、川村の四球でチャンスを作ると、5番でキャプテンの澁谷 唯人(2年)がレフト線へタイムリー。これがコールドへの決勝点となり0対7。七回コールドで日本文理が決勝へ足を運んだ。
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エキサイティングチーム 日本文理高校
藤塚 光二郎(日本文理)
7対0、七回コールド。スコアだけ見れば中盤競ったが、打つべく人が打って、投げるべく人が抑えた日本文理の圧勝。だがこの試合の目立たない部分にこそ、日本文理が県内のみならず、県外からも注目される強豪たる秘密が詰まっていた。
試合が始まる前のノック。通常、ノッカーを務める鈴木コーチは右打席に入るが、内野へのノックでは左打席に入り、ゴロを多く放った。五泉の1番の川﨑 諒(1年)、2番の伊藤、4番の成田 仁(1年)ら主力は、ミート力のある左打者。この対策を試合前の僅かな時間で行ったのである。
実際、初回先頭打者の川﨑は、まるで鈴木コーチのノックを見ているかのような、ファーストゴロでアウトになっている。
また、こと高校野球に関しては、流れやリズムがものをいうことが多い。ワンプレーで流れが代わり、ゲームがひっくり返ることも非常に多いのが特徴といえるだろう。
この試合、日本文理が決めた犠打は2つ。2番・寺杣 直泰、8番・藤塚 光二郎がいずれも初球で決めている。攻撃のリズムを崩すことなく、効率的に得点圏にランナーを進め、相手にプレッシャーを掛ける。当たり前のことだが、いとも簡単にやってのける選手の能力、意識の高さは特筆すべきことだろう。
投手に目を向ければ、この日先発した藤塚、準々決勝で登板した稲垣 優人、稲垣 豪人という三本柱のピッチングも見事だ。アウトローを中心に低めへの意識を徹底し、時には大胆にインサイドを突くリード。そしてそれを可能にする投手陣の制球力。
カウントを悪くしても四球を出さず、準々決勝、準決勝で投手陣が出した四球は15イニングでわずか2つ。きっちり試合を作っている。
試合に臨む前にしっかりと準備し、いざ試合が始まれば、やるべきことをきっちりやって、相手に主導権を渡さない。強力な投手陣、打線に目が行きがちだが、こういうところこそ日本文理が強さを伝統として維持できる秘密なのだろう。
ここ2年、県内の公式戦は1つの高校の連勝し続けている。
(2013年→日本文理、2014年→中越)
今秋、再び日本文理がこの新たな歴史を刻み始めるのか?準々決勝、準決勝の戦いぶりを見る限り、まだまだ続きそうだ。
(文=町井敬史)
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