早稲田実業vs東海大甲府
清宮・加藤で流れに乗った早稲田実業と、リズムを作れなかった東海大甲府
甲子園は朝6時40分の時点で満員札止め。10日目も注目カードが目白押しと合って、客足の早いなかの開催となった。
そしてこの日も第1試合に登場の早稲田実業と東海大甲府の一戦を楽しみにしてきたファンは、早起きの報われる観戦となったことだろう。
立ち上がり1点を取り合い1対1で迎えた3回表。無死一塁で早稲田実業3番・清宮 幸太郎を打席に迎えることとなった。
東海大甲府先発・菊地 大輝は清宮に対し、第1打席はインコースを攻めて死球となっている。この打席もインコースを攻めきりたかったはずだが、やはり気になるのは、後を打つ4番・加藤 雅樹、さらには金子 銀佑の存在感。同じように当ててしまいランナーをためることは避けたい。清宮を打たせて取る、あわよくばダブルプレーを取りたいと思うのは当然だ。ここで菊地にとって悲劇だったのは、投じたチェンジアップが甘く入ってしまったという事。打ち頃のわかりやすい変化球を清宮は読んでいたかのように上手くひきつけて打つことが出来、結果、ホームランとなった。
清宮のこの夏初めて、そして自身甲子園第1号となるライトスタンドへのホームランに球場は大盛り上がり。
さらに4番・加藤 雅樹も打った瞬間それとわかる強烈なホームランを同じくライトスタンドへ叩き込む。欲しいときに打つ、主将の本領発揮の一打。清宮、加藤の連続アベックホームランという最高の形で3点を追加し、球場の雰囲気を完全につかむ。
なんとか食らいつきたい東海大甲府は5対1で迎えた5回裏、二死二三塁の場面を作る。ここで角山 颯の打球は早稲田実業二塁手・富田 直希のエラーを誘い、後逸。この間に2点を返し、3対5と2点差に詰め寄る。
しかしその直後の6回表、早稲田実業は二死満塁から清宮が走者一掃の3点タイムリーツーベースを放ち、東海大甲府を再び突き放す。
その裏、東海大甲府は無死一二塁から宮川 一駿がライトへタイムリーを放つ反撃に出るが、その後攻めきれずこの1点どまり。なかなか打線がつながらない。
ここまで1回戦は8点、2回戦は9点を奪うという強力打線を誇る東海大甲府だったが、この試合はやや勝手が違った。立ちはだかったのが、富田 直希、金子 銀佑の早稲田実業を支える二遊間。ランナーを出してチャンスを作り出そうとすると、ことごとくこの二遊間の網にかかる。そうしてリズムを作れないまま試合は終盤へと進んでいく。
東海大甲府もその終盤、守備での好プレーを連発し7回からなんとか無失点で踏ん張り続け流れを引き戻そうとするも、早稲田実業先発・松本 皓の後を受けた上條 哲聖の前に沈黙。自分たちの野球をさせてもらえずに3回戦で敗れることとなった。
一方、怪物・清宮が3本の長打に5打点と大暴れを見せた早稲田実業。主将をはじめ他の上級生も打撃好調で、守備も堅い。さらにバッテリーの絆も深いとあり、試合を重ねるごとに隙がなくなっていっているようだ。次の準々決勝も、第1試合と決まった。ファンの早起きは、まだまだ続きそうだ。
(文=青木有実子)
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