試合レポート

中京大中京vs東邦

2015.07.29

緊張感あふれる名門校対決だったが、中京大中京が打線爆発で7回コールド勝ち

 昨秋のと豊橋工、今春の中部大一至学館という新興勢力が台頭しているということを示していた愛知県の高校野球。この夏はどういう展開になるのかと、興味深く見守っていたのだけれども、最終的には名古屋市内私学3強と言われる中京大中京愛工大名電東邦がベスト4にきっちりと残った。このあたりは、やはり実績のある実力校の面目躍如といっていいであろう。

 なかんずく、戦前からの伝統校対決となった、中京大中京東邦の試合は、やはり見逃せない一戦である。
 昨夏の代表校東邦は、苦しみながらも何とかここまで進出してきたのはさすがだ。中京大中京はここをピークという考えで高橋源一郎監督が作り上げてきている。

 名門校対決の準決勝、スタンドは早くから多くのファンが詰めかけて、早々に外野席も解放される満員となった。多くの瞳が見つめる環境で、いささか重苦しい緊張感に包まれた中で始まった試合、先制したのは中京大中京だった。

 2回の中京大中京は、先頭の5番矢田崎君が中前打で出ると、バントで進み、佐藤勇君が中前打でつないで一三塁。内藤君の当たりは内野安打となって、先制点が入る。さらに、上野君も中前打して満塁となったところで、1番河田君。河田君はしぶとく三遊間を破ると、二者が帰ってなおも二三塁。続く加藤大君も、強く叩きつけて一二塁間を破って、2者を返した。中京大中京は、鋭く6本の単打で5点を奪った。

 反撃したい東邦は、3回に失策と鈴木理君の中前打にバントで一死二三塁として、内野ゴロの間に1点を奪った。東邦としては、畳み込めなかったのが痛かった。それでも、5回にも井上君が中前打で出て死球と重盗で好機を広げていって、9番高木君の中前打で帰して追い上げた。


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第97回全国高等学校野球選手権大会

 やや東邦が試合の流れを取り戻しかかった雰囲気もあったが、6回二死から中京大中京打線が爆発。加藤大君が二塁打すると、中村君も三塁線へ強く叩きつけて二塁打で帰し、伊藤寛士君は遊撃手深いところへの内野安打でつないで、矢田崎君も中越大きな二塁打で2者を迎えてこの回3点。矢田崎君の思い切りのいいスイングは、打球音も鋭くいい飛び方の打球だった。

 その裏に東邦は一死二塁から代打和田君が二塁打して1点を返したものの、7回にも中京大中京は相手失策などにもつけ入ってさらに2点を追加した。そして、その裏の東邦は、先頭の8番鈴木理君が中前打したものの、併殺でチャンスがつぶれ、結局は3人で攻撃が終わり、まさかのコールドゲームとなってしまった。

 中京大中京は、09年に全国制覇を果たして、その翌年にも甲子園出場を果たしたが、それを最後に甲子園から遠ざかっている。大藤敏行監督を引き継いで高橋監督は、最初の夏は時習館に敗退するなど、勝てない時期もあったが、5年目へ来てチームとしてもしっかりまとまってきたのではないだろうか。悲願達成へ向けて。あと一つというところまでたどり着いた。

 東邦は、昨年夏の経験もある藤嶋健人君の調子が悪かったのかというと、決してそうではないだろう。それよりも、ファーストストライクから積極的に降ってきて、向かっていく中京大中京打線の気持ちが、上回っていたということだろう。少しでも甘いと、すかさずバチーンとはじき返していく、好球を逃さない集中力と、鋭いスイングが藤嶋君を勝ったといっていいだろう。

(文=手束仁


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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