愛知産大工vs高浜

　シートノックでは、投手もマウンドに置いて、バックアップの動きなども確認していた愛産大工。こういう準備も大事なことなのだろうと思える。

　この春は、ベスト8に進出してシード校となっており、この日が初戦となる愛産大工である。どんな大会の入り方になるのかと、注目された。

　高浜の先発は、背番号6の丹治君だった。やや意表を突いた形の先発になったのだろうが、愛産大工は2回に二塁打の高木君を置いて、6番眞部君が右翼席へ、大きく弧を描く2ラン本塁打で先制。眞部君は打った瞬間に右手を高く掲げたくらいに会心の当たりだったのだろう。愛産大工は3回にも2番益田君が右線三塁打して、続く深谷君の中前打で帰してさらに1点を追加した。

　高浜の山下 統司監督は、ここで丹治君を遊撃手に戻して、左腕の寺本君を送り出した。寺本君は度胸よく投げ込んでいき、自分のリズムでその後を抑えた。寺本君は、ダイナミックに足を上げて全身で投げてくる力投型だが、球もよく伸びてきていて、愛産大工打線もやや打ちあぐんでいた。

　また、愛産大工の高坂君は、180cm以上ある大型投手で体幹もしっかりした感じで、左腕から力強い球を投げ込んでくる。春季大会でベスト8に進出した原動力でもある。

　中盤は、この両投手の投手戦という様相になってきた。しかし6回、愛産大工は7番大野君が右前打で出ると、バントで送り内野ゴロの間に三塁へ進み、林君は四球で出ると、益田君が右前打して大野君を帰して突破口を開く。

　すると、続く深谷君も三遊間を破って、なおも1点追加。4番福山君は右線二塁打してこの回3点目が入る。やや膠着しかかった試合だったが、愛産大工としては、いいタイミングでの追加点となった。

　そして、8回にも最後は3番深谷君が二死二塁から三塁線を破る好打で帰してコールドゲームとした。

　愛産大工は鈴木 将吾監督が就任して3年目、監督と同時に入ってきた生徒たちの最後の夏でもある。チームとしても、確実に力をつけてきているという雰囲気が感じられた。

（文＝手束仁）

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