試合レポート

近大附vs摂津

2015.05.04

笑顔なき勝者

二番手・梁川匠(近大附)

 序盤に2点を先制されるが中盤に逆転。5点のリードを奪った近大附は4回からマウンドに上がっていた梁川匠(3年)がそのまま最後まで投げ切った。

 6回1失点の内容にも「まだまっすぐがコースに決まらない。全部抜けてしまって。相手が打ち損じてただけ。もっとコースに決めないと」
梁川は肩を痛めており投球練習を再開したのは2月後半になってから。たまに右打者のアウトローに決まる手応えのある球もあったそうだが、全体的には全く納得していない。
チームとしても3回までに先発・池田慎悟(3年)が5安打を浴び2失点、打線は摂津先発・福山拓実(3年)の前に沈黙と流れはよくなかった。

 それでも4回に末廣恵士(3年)、前田一樹(3年)の連続タイムリーで同点とすると5回に1点、6回に4点を挙げリードを奪った。ただしこの勝ち越し点は相手のミスでもらったようなもの。
5回の得点はフォアボールで出塁したランナーがエラーで生還。6回もエラーをきっかけにランナーを出すと明らかにライト前に落ちそうな打球に対してライトがダイビングキャッチを試みる。無理にギャンブルした結果、タイムリースリーベースとなりビッグイニングへとつながった。

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

本塁打を放った日下龍治(摂津)

「基本的にはピッチャーを中心にした守りのチーム。荒れた展開になると返す力が無い。中盤から終盤にかけて1点差で戦えたらと思ってましたけど、エラーから流れが変わってしまった」

 初回に4番・小西航太朗(3年)のタイムリースリーベースで先制すると3回には日下龍治(3年)の本塁打で加点。序盤で長打を4本放ったが摂津の嶋田監督は「本来守りのチーム」だと強調。だからこそ嘆いたのは4回以降わずか3安打に抑えられた打線の方ではなく中盤に乱れた守備の方。
「公立対公立なら何とかなるけど、私学は打球の質が違う。打ち取っていても中々処理できない」

 摂津には野球部用のグラウンドは無い。練習可能な部分はスペースが限られており、しかも使えるのは週2回だけ。ノックもまともに行えないことから「外野の判断はしょうがない」とある程度は織り込み済み。
「グラウンド(のハンデ)を跳ね返すだけのディフェンス力を作ってしっかりとやりたい」2か月後の夏までに守備力向上を誓っていた。

 最後は5点差のついた試合だったが、勝利した近大附の藤本監督は不満顔。
「自分らで崩れていた。相手の野球をされていた。ずっと課題。自分たちの野球ができない」
試合会場が自前の球場だけあって試合後にはすぐさま打撃ゲージが準備されていた。ベンチ前で行われていたミーティングにはピリピリとした雰囲気が漂っており、まるで敗戦したかのよう。

 ベスト16入りとなった近大附、準々決勝進出を懸けて2日後に戦う相手は四條畷。今度こそすっきりと自分たちの野球で勝利したい。

(文=小中翔太

2015年度 春季高校野球大会 特設サイト
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!