美里工vs豊見城南
12安打10得点と打線が爆発した美里工が完勝!
適時三塁打を放つ高江洲正弥(美里工)
「引き出しは多いほうがいいよね」
大技小技と自由自在にタクトを振るう指揮官に対し、選手たちがそれに応答することが出来る理想の野球に少し近づいたかなと、試合後の神谷監督は笑顔を見せた。
まずは先制点が欲しい初回、一死二塁で3番砂川隆之佑は相手サウスポーの球に無理に引っ張ることなく、懐に呼び込んでキッチリと弾き返すライト前へのタイムリーで1点を奪うと、続く2回にはノーヒットで二死三塁として上位へ回し、崎浜秀三のタイムリーで2点目。その崎浜が盗塁を仕掛けると、2番石新恭士がこれに応えセンター前へと運び3点目が入る。
3回にはヒットとワイルドピッチで二塁へ進め、6番高江洲正弥がセンターへのタイムリー三塁打で加点し試合を優位に進めた。
投げては「数日前にメンタルトレーニングを行った」という久田真輝(くだ・まきと)が自信にあふれる投球で、4回までひとつの四球を許しただけのノーヒットピッチング。
最後は狙いに言ったと苦笑いした久田が、カウントを取りに行った初球をライト前へ運ばれたが、エースの力投に花を添えようとライトの崎浜が懸命に一塁へ送球するも間に合わず結果ワンヒットワンエラーで無死二塁を背負ってしまった。
自信にあふれる投球を見せた美里工・久田真輝
だが、「今までだと多分力んでしまったと思います」と振り替えった久田は、前述したトレーニングで、マウンドで自分がどうあるべきかを一種悟ったような境地に入っているのだろう。次打者を三球三振に斬ると後続も打ち取り僅か52球7奪三振で締めくくった。
4回こそ無得点に終わった打線も5回、この日3安打目となるヒットを放った平良洋輝から怒涛の5連打で次々と得点を重ねた。あと1点でコールド成立という場面で砂川がチーム12本目となるヒットを三塁打でマークして二桁得点で圧勝した。
秋季大会直前の8月末、横浜隼人などと試合を行い、かなり自信を深めたナインたち。同じくこの日、宜野湾に3対1と勝利した中部南ブロックで争ったライバルのコザとの3回戦を前に、好守そして5回で試合を終ったという休養を含めた全ての面で理想通りにことが運んだ。
砂川をはじめ右打者の殆どが引っ張らずおっつけて右方向へ打っていたのも、140Kmを超える内間敦也のストレート対策だったのだろう。
優勝した偉大な先輩たちへ追いつき追い越すまで、美里工ナインは走り続ける。
(文=當山雅通)