宜野座vs久米島
宜野座に勝利を呼び込んだ強心臓の一年生・岸本恭里!
久米島先発の安里翔太
久米島先発の安里翔太の前に3回を終えてヒット1本と宜野座は苦しめられた。しかし4回表、一死二塁から4番比嘉敬伍がライト前へ運び1点を返すとベンチ内が徐々に盛り上がりを見せる。
5回には先頭の赤嶺響がライト線を襲う三塁打で出塁すると、次打者は四球と盗塁で無死ニ・三塁と大きなチャンスを得た。だが強攻策が実らない。ストレートを見せ球に右打者の外角へとコントロールされた安里翔の絶妙な球にどうしてもバットが出てしまい、結果二者連続三振とサードゴロに終わってしまった。
秋4位、春準優勝、夏4強と3大会連続で準決勝以上の成績を残した前チームの強さの一つに「切り替えが上手だった」と仲間監督はいう。
高校生だから、いや野球なのだからミスは当然のように出る。その気持ちをどう持つかで後々のプレーにも関わってくるが、今のチームは引きずるという、そんなメンタルの弱さが感じるとのこと。
最低でも1点は取れる!そう感じた矢先のまさかの無得点に、そんな空気が流れていたのを感じた指揮官だったが、それを払拭したのが「プレッシャーなんて全く無かった」と試合後に語った1年生岸本恭里(きしもと・ちかり)だった。
7回、一死二塁の場面で打席に立った岸本の打球はセンターへ。捕球出来ずエラーの間に二塁走者が生還した。そしてもう一人の立役者が3番手で登板し、最速139kmをマークした同じ1年生の内間拓馬だ。「いつもなら1、2イニング」(仲間監督)の役目が少し早く回ってきてしまったが何の何の。
勝利を引き寄せた岸本恭里(宜野座)
7、8回を四球ひとつだけに抑えてチームに流れを持ち込むと9回、先頭打者が四球を選び出塁。次打者の犠打が相手投手のフィルダースチョイスを誘う。さらに三塁線への絶妙なバントヒットが続き無死満塁となって、ここでも強心臓の岸本が「インコースに詰まってしまったが体全体で思い切って振りにいった」という打球は、レフト前に落ちる逆転の2点タイムリーとなりついに試合をひっくり返した。
9回裏の内間は、二死から内野安打を許すも慌てず、後続を斬って締め宜野座が新チームとなってもお家芸である粘り強さを発揮し3回戦にコマを進めた。
敗れた久米島だが、3回ニ死ながら二・三塁とチャンスを作ると4番国吉浩一郎がレフトの頭を越える三塁打、さらに5番吉永凪がレフト線を破る連続タイムリー三塁打で3点を奪取。投げては、得点圏に走者を置いてからのピッチングが光った先発安里翔など、投打の柱が中心となってきちんとゲームを作っていく場面を見せてくれた。
この悔しい黒星が、来る冬で彼らをさらに強くすることだろう。来春、より元気でより強くなった久米島野球を僕らの前に見せてくれることを願う。
(文=當山雅通)