大阪桐蔭vs八頭
「曲者」八頭、序盤健闘と、大阪桐蔭の「凄み」
3回を終わって両者無得点。
大阪桐蔭にとっては明徳義塾戦(試合レポート)とは全く異なる意味で「意外な展開」で進んだに違いない。
その理由は日本神話「因幡の白兎」伝説で知られる鳥取県八頭町唯一の高等学校・八頭の「曲者」ぶりにあった。
まず打線は、大阪桐蔭2年生左腕・田中 誠也(左投左打・170センチ60キロ・生駒ボーイズ<奈良>出身)の「外角高め」に狙いを絞った。
事実、1回裏に3番・中尾 直也(3年・170センチ64キロ・若桜町立若桜学園中出身)が、2回表に6番・竹内 駿(3年主将・左翼手・168センチ65キロ・八頭ボーイズ出身)が放った中前打は、いずれも田中の外角高めを合わせたものだった。
八頭のエース左腕・鎌谷 康平(3年・投手・左投左打・167センチ65キロ・八頭町立船岡中出身)の投球術も光った。
1回戦の角館戦(試合レポート)では投じていない110キロ台・パーム系の変化球を交え、3回までは3安打無失点。
3回表二死一・二塁で3番・香月 一也(3年・三塁手・右投左打・175センチ82キロ・八幡中央ボーイズ<福岡>出身)を迎えたピンチでは一塁手があえてベースを外し、二塁牽制球で駆け引きをしながら最後は一塁ゴロで討ち取った心憎さは、序盤最大のハイライトであろう。
が、ここで修正を施せるのが今大会の大阪桐蔭である。
「強打」から「軽打」へとギアチェンジした4回には5番・青柳 昴樹(2年・右翼手・右投右打・183センチ83キロ・忠岡ヤング<ヤングリーグ>&南大阪ベースボールクラブ<硬式無所属>出身)以下の3連打で一死満塁とした後、鎌谷にプレッシャーをかけ続けての3連続四死球押し出しと、香月の二塁強襲2点適時打で一挙5点を先制。
そして終わってみれば16安打10得点。
特に2番・峯本 匠(3年・二塁手・右投左打・172センチ72キロ・忠岡ヤング<ヤングリーグ>出身)は6打席3打数3安打3四死球1打点。香月も5打数3安打4打点。「手がつけられない」とは正にこのことである。
3回までは八頭の「健闘」、4回以降は大阪桐蔭の「凄み」が存分に出た一戦。
点差は離れたが高校野球の奥深さを知るには格好の2時間5分だったと言えるだろう。
(文:寺下友徳)
【野球部訪問:第35回 大阪桐蔭高等学校(大阪)】