敦賀気比vs盛岡大附
エースの右ひじ痛に泣いた盛岡大附。敦賀気比が3試合連続二桁得点でベスト8
盛岡大附対敦賀気比。注目された好カードだが、あっさりと決着がついた。
岩手大会決勝後、肘の痛みが発症した盛岡大附・松本裕樹(3年)の状態が限界に達したのだ。
東海大相模戦(試合レポート)の投球が精一杯だったのかもしれない。
143キロの速球、スライダー、ツーシームを駆使して、抑えこんでいたが、今回の投球はストレート、変化球ともに定まらず、最速138キロ止まり。そして変化球もすべて抜けてしまい、ストライクに入れようとすると緩い軌道で真ん中に入る。
ここまで2試合連続二桁得点を上げている敦賀気比打線は、そこを見逃さなかった。
敦賀気比は2回表に先制すると、3回表、浅井 洸耶(3年)の本塁打に始まり、打者12人の猛攻で、8得点を挙げた。盛岡大附にとってはダメージの大きい失点であった。
その後、松本はライトに回り、継投策となったが、敦賀気比打線は手を全く緩めることなく、20安打16得点を挙げた。
盛岡大附は東海大相模戦で本塁打を放っている遠藤 真(2年)の2試合連続本塁打の1本だけに終わった。
この試合は、松本が敦賀気比打線に対し、どんなピッチングを披露するかに期待が高まっていた。
敦賀気比打線は2試合見たが、各選手のスイングスピード、打球の速さが他校に比べて格段に違うのだ。堅守を誇るチームでも、打球速度が速く、全く対応することができていなかった。
そういうチームを抑えるには松本が速球、変化球を駆使した投球がカギを握るという構図を描いていた。しかし、右ひじに分厚いテーピングをしながらの投球に、試合前の構想は崩れた。
今後に影響が出なければいいのだが…。祈りながら、松本の投球を見ていた。
松本は投打ともに未来ある逸材。
彼がプロ、大学、社会人、どのステージを選択するかはまだ分からないが、肘をしっかりと治すことが先決。
今まではエースとして、主砲として、チームを引っ張ってきたが、もしプロを選ぶようであれば、自分の体を守るためにもケアに対する知識、そして故障しにくいフォームなどを追求してほしい。
(文:河嶋宗一)
【野球部訪問:第101回 盛岡大学附属高等学校(岩手)】