明徳義塾vs智辯学園
明徳義塾、智辯学園に「守り勝つ」!
1つ目は3年連続で甲子園マウンドに立つ明徳義塾・岸 潤一郎(3年主将・投手・右投右打・175センチ75キロ・西淀ボーイズ<大阪>出身)と高校通算73発の智辯学園・岡本 和真(3年・一塁手・右投右打・183センチ95キロ・橿原磯城リトルシニア出身)の今大会最注目選手対決。
結果は岡本の4打数2安打2三振となったが、得点差に応じて配球を使い分ける明徳義塾・岸、水野 克哉(3年・捕手・右投右打・174センチ74キロ・東名古屋ボーイズ<愛知>出身)バッテリーの策略を力で破壊しにいく岡本との「駆け引き」は実に見ごたえがあった。
2つ目は5対3の7回裏・二死一・三塁から智辯学園2番手・浦中 拓也(3年・投手・右投右打・178センチ77キロ・橿原市立光陽中出身)の初球スプリットを見事にすくい上げ、大会史上13度目・明徳義塾では2010年の第92回大会1回戦・本庄一(埼玉)戦(試合レポート)における座覇 政也(現:至学館大4年)以来となる代打アーチ、しかも試合を決める3ランを放った代打・田中 秀政(3年・右投右打・178センチ83キロ・びわこクラブ<軟式・滋賀>出身)。
これで田中がこの夏にマークした高知大会からの通算打撃成績はすべて代打での一振りで5打数4安打10打点2本塁打。正に「神様」的活躍である。
ちなみに2006年夏に甲子園ベスト4に進出した鹿児島工業(鹿児島)であまりにも有名になった代打・今吉 晃一(当時3年)の成績は鹿児島大会6打数5安打2打点。甲子園では4打数3安打。通算10打数7安打2打点。
彼のように打席で叫ぶことはないが、彼と同じく「背番号11」で、すでに今吉を超える打点を黙々と積み重ねる田中の動向には、これからも要注目であろう。
ただ、この試合の明暗を分けたのは間違いなく3つ目の要素。「守備」である。
記録上は今大会4度目の無失策試合とはなったが、両者の守備精度には明らかな差があった。
一例をあげれば7階裏・明徳義塾一死満塁の場面。水野が正面に強い二塁ゴロを放つも、智辯学園内野陣は併殺を完成できず。
6回表無死二・三塁から6番・岩田 拓(3年・二塁手・右投右打・167センチ70キロ・生駒ボーイズ出身)の左犠飛で3対4と迫りながら、再び突き放される1点を献上してしまった。そして先述の田中代打3ランにつながっていく。
対して明徳義塾は6回表なおも、二死三塁のピンチで智辯学園7番・廣岡 大志(2年・三塁手・右投右打・181センチ76キロ・松原ボーイズ<大阪>出身)が引っ張った三遊間の難しいゴロに対し、安田 孝之(3年・遊撃手・右投左打ち・174センチ73キロ・東大阪リトルシニア<大阪>出身)が完璧なステップと完璧なスローインで同点を阻止。
新チーム結成時から遊撃手としてスローイングと三遊間寄りのステップワークの悪さを指摘される中、朝5時半からの自主練習で地道にステップ・スローインに取り組んでいた成果を出し切った。
4失点完投のエース・岸は本調子にはまだ遠いなど、課題はまだ残る明徳義塾。
ただ、先輩たちの伝統を引継ぎ「守り勝った」意味は、3年連続となる大阪桐蔭との2回戦できっと活きてくるはずだ。
(文:寺下 友徳)
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