試合レポート

中京大中京vs至学館

2014.07.25

序盤に長打攻勢の中京大中京が、強豪対決制す

 2011(平成23)年夏に快進撃で甲子園初出場を果たしている至学館。今年も、元気のいい伸び伸びとしたチームカラーそのものは変わっていない。
麻王義之監督は、決して恵まれているわけではない練習環境の中で、駐車場でトレーニングをしたり、スケジュールに空きがあった時には[stadium]瑞穂球場[/stadium]を使用したりしながら取り組んでいる。そういう意味では、[stadium]瑞穂球場[/stadium]はセミホームともいえるかもしれない。

春季大会
豊田西に競り負けて(試合レポート)、この夏はノーシードだが、チーム力はある。

 対する中京大中京は、言わずと知れた全国一の優勝回数を誇る天下の名門だ。

09年夏
堂林翔太投手(現広島)らを擁して優勝。春夏通じて11回目の全国制覇を果たしている。その翌年も、甲子園出場を果たしたものの、以降は甲子園出場していない。
10年秋の新チームから前任の大藤敏行監督を受けて就任した高橋源一郎監督としては、指揮官としては自身初となる甲子園へ、そろそろ導きたいところであろう。

 そんな両校の対戦は昨年夏試合レポート)に続いてのものである。
中京大中京に高橋源一郎監督が就任して以来、県大会だけでも4回目の対戦となっている。昨夏は5回戦で対戦して、至学館が逆転勝ちしている。それだけに、中京大中京としては、何とか雪辱を果たしたいところでもあろう。

 その中京大中京大は、打線がいきなり大爆発を見せた。
初回の中京大中京は四球の山本源君を暴投とバントで進めると、小林満平君の右前打でまず1点。続く楠君が右翼スタンドに放り込み2ラン、6番伊藤寛士君も左翼へソロを放ち右へ左へのアーチ攻勢で4点。

 2回にも、安打の松浦君をバントで進めると、山本君の中越三塁打に失策と、なおも小林君、楠君の連続長打などでさらに4点。3回には下位の連打と暴投で1点を追加して、序盤で9対0と大量リードを奪った。


 このまま終われない至学館は4回に反撃に出た。
先頭の3番松岡君が右前へ初安打を放つと、山口君も左翼線へ二塁打して続く。内野ゴロの間に三走が帰り、なおも1死三塁。続く塚本君が三遊間を破って2点目が入る。
さらに、代打今井君が中前打で続いて1死一二塁。バントでそれぞれ進めたところで、9番金田君が中前打、1番へ戻って松田君も遊撃内野安打して失策もあり、この回に5点を返した。
去年のことも頭にあったのだろうか、中京大中京らしからぬ守りの乱れも少し出てしまっていた。

 それでも、今年の中京大中京は逞しかった。
5回に山本君、楠君の二塁打など1四球4安打で3点を追加。
7回に1点を返されたものの、その裏に3四死球で満塁とすると、5番中村君が左翼手の頭上を越えてこれがコールドゲームを決める一打となった。

 スコアだけを見ると、中京大中京が力の差を見せつけたのかという印象になるかもしれないが、内容としては必ずしもそうではない。大量リードをしていながらも、ミスで失点をした中京大中京としては反省点も多かったであろう。

 逆に、至学館としては3回で0対9という完全に一方的に展開になりながらも、4回に一挙5点を返すエネルギー。
このあたりは、学校の歴史こそ浅いものの、決して恵まれてはいない環境の中で、ひたむきに自分たちの練習を重ねてきた至学館の伝統とでもいおうか、先輩たちが築いてきたものが、少しずつでも成果として形になっているということなのではないだろうか。

 試合後、球場下で応援してくれていたバトン部や父母たちの挨拶の場で、結果的にはコールドゲームという敗けの中にも麻王監督の表情は、何かを得たという満足感があったように感じられた。

(文=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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