試合レポート

川越工vs埼玉栄

2014.07.20

走攻守に積極的な川越工、ベスト16進出!

 第96回埼玉県大会4回戦、[stadium]埼玉県営大宮公園野球場[/stadium]での第2試合は川越工埼玉栄の対戦。
 埼玉栄といえば今大会、3回戦で武蔵越生との延長15回を戦った末の引き分け再試合。そして、その再試合も延長11回までもつれ込んだという死闘を演じてきた。対する川越工は2回戦、3回戦をいずれもコールド勝ちで危なげなく突破。高い攻撃力を見せつけてきている。安定した破壊力はやはり強いのか。それとも修羅場をくぐってきたチームが爆発力を見せるのか。試合は序盤から粘りの応酬となった。

 お互い初回からスコアリングポジションにランナーを送りあい攻撃のチャンスを作るものの、あと1本が出ない。守りの時間攻めの時間とも長く、投手は球数も増え、ともに序盤から消耗していく。

 そんな中、3回表。川越工が試合を動かす。9番・長谷川 拳斗が内野安打で出塁。その後、一死から2番・安藤 航平がこちらも内野安打で出塁し、一死一、二塁。ここで3番・太田 賢吾が右中間ど真ん中を破る打球を飛ばす。長谷川が還り、安藤も一塁から一気にホームイン。打った太田は186㎝の長身、長い足を生かした大きなストライドでするすると三塁へ到達。2点タイムリースリーベースで先制を果たすと、その後1点を追加しなおも二死一塁の場面。6番・佐藤 歩の放った打球は右中間へ。埼玉栄ライトがダイブ、必死に手を伸ばすが惜しくもわずかに及ばず。すぐさまカバーしたセンターからストライクのバックホーム。本塁クロスプレーとなるが、ランナー・保坂 浩輝の足が一瞬早くホームへ到達。この回、川越工打線がその破壊力を見せつけ4点を挙げる。

 埼玉栄も得点を返そうとするも、外野ゴロをも積極的に狙う川越工の攻撃的な守備に気圧されたか、なかなか攻撃の形を作れない。状況を打開しようと送り込んだ代打・林 正憲の三塁線抜けようかという一打も、川越工サード・長谷川 拳斗のファインプレーに阻まれる。


 一方、先制後も長打を放ちスコアリングポジションにランナーを送り、プレッシャーを与え続けるものの、攻めきれない川越工。ようやく追加点を奪えたのは、9回二死からだった。6番・佐藤がライトへのヒットで出塁。7番・岸村 駿平が四球を選びランナーをためると、8番・坂本 健太、9番・長谷川の連続タイムリーが飛び出し2点を追加。6対0とし、なんとか追いすがろうとする埼玉栄を突き放し、そのまま勝利を飾った。

 埼玉栄はもはや今大会でお馴染みとなった粘り強さの片りんは見せたものの、逆に、試合を決める、勝ちに行くというプレーからはやや遠かったのかもしれない。「粘り強さ」はともすれば、「決めきれない弱さ」の裏返しだ。スコアリングポジションから確実に点を取りに行く。それがきちんと出来れば、粘り強さは本当の武器となる。

 同じ粘りでもある意味対照的だったのが、見事勝利しベスト16入りを果たした川越工。とにかく打席で粘る。初球から積極的に振りに行くが、あっさり凡退、ということがほとんど無い。ヒットで出塁するか、凡退するにしても何球も投げさせて相手の体力を奪っていく。そしてひとたび塁に出れば虎視眈々と次の塁を狙う。やや過剰ともいえるほど、狙う。
 点差もあり、やや積極的というか雑になっていたのかもしれないが、8回は3本の安打を放つが3つのアウト全てが牽制死。それでも嫌なムードに持っていかない何かがある。チャンスを潰し続けても、弱気にならないマインドは見事なもの。ポジティブという言葉がこれほど似合うチームもなかなか無い。
次の対戦相手は、同日行われた4回戦で9回まで点を取り合うギリギリの戦いの末、浦和実を5対4で下した昌平。またも話題のチームを相手に回し、川越工の戦いが続く。

(文=青木有実子

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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