川内vs徳之島
3戦連続、サヨナラ勝ち・川内
鹿児島川内が初戦から3戦連続のサヨナラ勝ちと劇的な勝ちっぷりだ。今大会はこれまで2試合しか延長戦がないが、いずれも鹿児島川内の試合である。
昨秋、今春となかなか結果が残せず、大会前、中迫俊明監督は「接戦をものにできず、自信が持てていない。何かきっかけをつかめればいいのだが」と話していたが、「きっかけ」をつかんで3試合連続競り合いの展開をものにして2年ぶりの8強入りを果たした。
4回までは鹿児島川内・井上広大(3年)、徳之島・福本拓海(3年)、両先発の好投で0行進が続いた。この試合は、過去2戦で26盗塁と「足攻」を武器とする徳之島を鹿児島川内がどう封じるか、ポイントだとみていた。
鹿児島川内は捕手をレギュラー番号の川畑大樹(3年)ではなく、背番号9の竹之内優太(3年)がスタメンマスクだった。昨秋までレギュラーで肩の強さを買われてのスタメンだった。井上は、長い間合いやクイックなど、スタートを容易に切らせないために、様々なパターンのけん制を入れ、徳之島の足をケアしていた。
序盤に2度走られたが、3回以降は許していない。低めに丁寧な投球を心掛け、四死球2と制球も安定していたのは大きな勝因になった。
先制したのは5回の徳之島。
二死二塁から暴投で二走・富山将也(3年)が一気にホームを陥れ、盗塁ではないが常に先の塁を狙う徳之島らしい「足攻」で先制点を挙げた。
鹿児島川内は7回、今大会打撃好調の2番・酒井健綺(3年)がセンターオーバー二塁打を放って同点に追いついた。
徳之島の堅守は特筆すべきで、この緊迫の好ゲームを無失策で守り切った。
二死二三塁で4番・鶴永竜治(3年)、9回は二死二塁と一打サヨナラのピンチの場面で2番・酒井と、最も当たっていた打者を迎えて敬遠も考えられたケースで、先発の福本、8回からリリーフしたエース吉見水月(3年)はいずれも勝負に出て、打ち取っている。この強気な「攻めの守り」も徳之島らしい野球だった。
両者持ち味を発揮してがっぷり四つに組んだ好ゲームだったが、最後は延長11回二死二塁から、1番・安藤光平(3年)がライト前ヒットを放ち、鹿児島川内が熱戦にケリをつけた。
(文=政 純一郎)