鹿児島実vs奄美
雰囲気にのまれる・奄美
投打に奄美を圧倒した鹿児島実
鹿児島実が17安打11得点と打線爆発で格の違いをみせつけた。
序盤から打線がつながって3回までに6点を先取。6回には4番・松原 一成(3年)から5連打を浴びせるなど打者10人で6安打を集中し、5点を奪って試合を決めた。
4番・松原は2本の二塁打を含む4安打1打点と当たっていた。
奄美は攻守とも良いところなく敗れた。
「勢いだけで勝ってきた春とは違った。本当の底力をつけないといけないことが分かった」
と前園 昌一郎監督は悔しさをかみ締めた。
相手の鹿児島実は県下屈指の名門校。ベンチに入れない部員の数も多く、スタンドの応援もこれまで対戦したどのチームよりも迫力があった。
「あの雰囲気に圧倒された。守備の声も通らなかった」と四本 凌主将(3年)は振り返る。
春の県大会は、投手を中心にミスの少ない守備でリズムをつかんだが、この日はそこから崩れた。
大黒柱の左腕・林 健斗(2年)は、
「初回に先頭打者を打ち取ってホッとしたところを連打された。低めに投げても打ち返されて、どこに投げていいか分からなくなった」
と悔しがる。NHK旗は春ベスト16以上のチームが出る選抜大会。奄美も春堂々のベスト8で初のNHK旗を勝ち取ったが、選ばれたチーム同士の大会にどこか気負ってしまって、自分たちの野球を見失った。
「この現実をしっかり受け止めたい」と前園監督は力を込める。
春の8強に満足することなく、更なる高みを目指すためには、このクラスの相手とも渡り合わなければいけない。
「私学が相手でも打ち負けないよう、日頃の練習から高い意識を持って、レベルアップしたい」
と四本主将は夏の飛躍を誓っていた。
(文=政 純一郎)