高知追手前vs高知西
高知追手前、新指揮官の下でマイナーチェンジの第一歩
常廣直樹監督の指示を聴く高知追手前の選手たち
スコアだけ見れば、昨秋県大会3位・四国大会出場の高知追手前が経験値を高知西に示した6回コールド。ただこれを指揮官の指導経験に落とし込むと、見方は180度異なってくる。
高知西を率いるのは6年目の北岡 茂監督。これに対し須崎工からこの4月に異動した常廣 直樹監督はこの試合が高知追手前での公式戦初采配。かつ常廣監督は実に20年の長きに渡り母校を率い、多彩なバント戦術など県内に一スタイルを築いた谷村 孝二監督(現:宿毛高校勤務)の後任。同校コーチ経験は2005~2010年度の6年間あるとはいえ、かかるプレッシャーは相当のものだったことは容易に想像がつく。
しかしながら高知追手前は普段通り戦い抜いた。いや、ただ1点。ベンチからの指示を除いては。「ここはどうするんだ?」時には諭すように、時には怒気を含みながら。その真意は試合後に指揮官自身の口から明かされた。
「今は『この状況でどんなことをしていくのか』といった具体的なことに目を向けながら、練習から試合で使う緊張感を持って取り組むようにしているんです。試合は練習の確認。相手によって気合を入れるのではなく、いつもと同じように気合を入れていくことに取り組んでいます」
「理解度の高さもあるし、どっしりした戦いができる」校風と経験、「谷村先生が徹底してくれたのですごく助かっている」バント戦術は継承しつつ、さらなる上位を目指すためのマイナーチェンジ。190センチ右腕・安藤誉氣(3年)など素材豊かな選手を抱え、決して簡単な相手ではない高知西相手の快勝は、常廣監督いわく「まだ状況判断ができていない」点を差し引いたとしても、まずまずな一歩目と言えるだろう。
(文=寺下 友徳)