修徳vs都立雪谷
修徳が、都立雪谷のミスに乗じて逆転勝利
桜井投手(修徳)
[stadium]八王子市民球場[/stadium]を囲むように植えられた桜の木々が花吹雪を散らす中、春季東京都大会の4回戦、修徳対都立雪谷の試合が始まった。
都立雪谷は、11年ぶりの甲子園出場を狙って、強豪私学との試合経験を積み上げておきたいところ。エースの鈴木 優は、今秋のドラフトで指名も予想される好投手だ。修徳は、本大会に入ってから、6対5(対桐朋 2014年4月4日)、3対2(対国士舘 2014年4月6日)と1点差ゲームをものにして勝ち上がってきた。10番を付ける左腕の桜井 政利は、昨夏の甲子園に出場している。
試合が動いたのは3回表、2番の菅野 智也が四球で出塁すると続く3番の関 智弘が犠打、一塁への送球がそれるうちに、菅野が三塁に進み、4番の鈴木が打席に入った。鈴木は、桜井の投じた2球目を左前に弾き返し、都立雪谷が先制した。
この日、鈴木の調子は決して良くなかった。ストレートのキレはわずかに鈍り、いつもなら決まる変化球がコーナーを僅かに外れた。
「鈴木は、本来、連投でもよいパフォーマンスを見せてくれるのですが、堀越戦(2014年4月7日)以降、肩に疲労を感じていたんです。それでも、何とか相手打線を抑えていたのに、打線が応えられなかった。それに……」と相原 健志監督。
5回裏、都立雪谷は、内野による3つの送球ミスで、2点を取り逆転を許してしまい、それが決勝点となってしまった。
「鈴木ひとりで野球は出来ない。打たせて取る野球なら、エラーをしちゃいけない。それを選手たちも分かってくれたはず」と相原監督は、絞り出すように言葉を継いだ。
鈴木投手(都立雪谷)
一方、修徳の左腕・桜井は、この2点で調子に乗った。高めを効果的に使った配球とキレのあるスライダーで都立雪谷打線を封じ込んだ。6回以降、一人の走者も出さずに、修徳を準々決勝に進めた。
「あの子は、あんまり何ごとにも動じないんですよ。何を考えてるのか読めないことが多い(笑)。でも、早く投げたかったんじゃないですか。それは分かる」と阿保 暢彦監督。
桜井は、冬の間、ケガを直すために、ノースローで、徹底的に走り込んだ。投球練習は2月に入ってから。それが功を奏して、桜井は、4月に入り尻上がりに調子を上げている。
実は、修徳のオープン戦の成績は8連敗と芳しくなかった。しかし、それでナインは開き直った。
「負けはしましたが、おかげで公式戦では先制されても動じないですよ。怪我の功名ですね」と阿保監督は笑う。粘り強くピンチをしのぎ、チャンスがあれば、相手の隙をついて畳み掛けるのは、この試合で、見せた修徳の強さだ。
ただ、夏に向けてチェックポイントはいくつかある。それを修正しつつ、試合を重ねる。
「3回戦では、エラーが多かったので、都立雪谷戦までは徹底して守備練習を重ねました。今日はミスもなく、結果がでましたね」と監督。
準々決勝は、関東一との対戦。昨夏の東東京代表の修徳と、センバツ帰りの関東一。東東京の夏を占う上では、見逃せない一戦になりそうだ。
「うちには、大舞台になるほど調子を上げる選手が多い。やってくれるでしょう」と阿保監督。一戦ごとに力を付ける修徳の躍進はどこまで続くか楽しみだ。