正則学園vs中大附
満塁本塁打を放った小野健汰(正則学園)
正則学園、打線爆発!満塁本塁打で快勝!
実戦に離れてしまう事がどれだけ大変な事かを実感させるゲームだった。
正則学園は今週まで修学旅行に行っており、練習が出来たのは1日だけで公式戦に臨んだ。ブランクが心配されたが、初回から自慢の強打を見せた。
1回表、正則学園は一死から2番米川の四球、3番佐藤の二塁打、4番土橋の四球で満塁。5番伊藤が倒れ、二死満塁。打者は6番小野 健汰。小野は甘く入った直球を逃さず、打球はライトスタンドへ消える満塁本塁打となった。この先制弾に正則学園ベンチは盛り上がる。
しかし梨本監督はこのホームランによって選手から欲が出過ぎてしまったと分析する。
「実戦から離れていたので、みんな打ちたい、打ちたい、という気持ちになっているんです。小野の本塁打が余計にボール球に手を出すことになりましたね」
満塁本塁打を打たれた中大附の先発・辻川 隼土は変化球中心の攻めで投球を組み立てることを選択した。
「初回から甘く入る直球が狙われているのを感じていました。捕手と相談をして、変化球で勝負しようと、またボール球に手を出してきていたので、ボール球でも勝負できるなと」
辻川は縦横のスライダー、高めの釣り球を使いながら、勝負。正則学園の選手たちは辻川の直球、変化球を打ち損じ、ゼロを重ねていく。辻川は自分の思惑通りの投球が出来ていた。梨本監督も辻本を称えた。
「素晴らしい度胸をしていますね。また彼は頭が良く、うちの弱点をついていました」
辻川の好投により、着々と試合は進行していった。
しっかりと立ち直った辻川 隼土(中大附)
なかなか追加点が奪えない中、好投を見せていたのはエースの尾形 直樹。
セットポジションから始動し、、左手のグラブを上げて、右手をだらっと下げてから小さなテイクバックで投げ込む姿は北海道日本ハムファイターズで活躍する新垣 勇人に似ている。
速球は常時130キロ前半の直球は計測していそうで、小さく切れるスライダー、カーブを投げ込んで投球を組み立てる。勝負所で決まるアウトコースのストレートは素晴らしいものがあった。また尾形が巧いのはクイックと牽制。クイックは1.2秒前後と標準タイム。牽制は相手走者の隙を見抜いて入れていき、この試合でも2人の走者を牽制で刺していた。
膠着していた試合が動いたのは6回表。二死二塁から7番荒川の中越二塁打で正則学園が1点を追加し、5対0とする。
なんとか反撃したい中大附はその裏、2番相田の死球、3番五島の四球で無死一、二塁のチャンスを作り、4番岩下は犠打を行い、三塁封殺で一死一、二塁。5番伊理の二ゴロで、二死一、三塁として、6番太田の左前安打で1点を返す。
しかし反撃もここまで。試合は5対1のまま、尾形が完投で締めてゲームセット。正則学園が代表決定戦へ駒を進めた。
梨本監督は、
「実戦に離れていて、ボールを打つ感覚も忘れていたと思うので、この1週間で修正をしていきたいです」
と21日(金)の代表決定戦へ向けて修正を図っていくことを誓った。
(文=河嶋宗一)