池田vs高知東工
投球する池田先発・名西宥人(2年)
雨中の熱戦で池田を勝利に導いた「経験値」
まず記さなければいけないのは、試合終盤はグラウンドが田んぼ状態になる中、懸命のプレーを続けた徳島池田・高知東工に対する感謝の想いだ。
特に高知東工は敗れたとはいえ、6回裏二死から完全に二遊間を破ろうかという打球を華麗なステップと正確な送球で捌いた近藤友樹遊撃手(2年・右投左打・162センチ55キロ・鏡野中出身)のファインプレーや、1対7で迎えた8回裏一死二・三塁とコールド負けへ絶体絶命の状況から連続三振を奪った東野幸哉(2年)の気迫は「後半はよく辛抱してくれた」と話した南進監督の言を引用するまでもなく、賞賛に値するもの。
この経験はこれから冬練習へと向かう彼らに大きな励みとなるはずだし、苦しいときにはぜひこの試合を思い出してほしい。
とはいえ、それらの難しい条件にあっても徳島池田は終始試合をコントロールしていた。
「中盤以降はボールの切れが出て、流れに乗ることができて」最速139キロ・9回にも135キロをマークした右腕・名西宥人(2年)はもちろんだが、先制点が通常の試合以上に大きな鍵を握る序盤におけるソツなき5得点。加えて「9番より1・2番を打てるようになるための守備・走塁・バッティングを目指している」旧チームのリードオフマン・上徳拓馬(3年)の実弟である上徳佳樹(1年・右投右打・163センチ63キロ・貞光中出身)に代表されるような、各人の向上意欲の高さは、先輩たちが一年前に刻んだ四国大会の経験値あってこそのものだろう。
2回戦は昨年3対4で惜敗した済美と同じ愛媛県の1位校・西条。第4試合ということを考慮し、あえて宿泊を避けるなど調整にも余念のない徳島池田は、岡田康志監督いわく「こんな野球しかできないので、これでいく」経験値を27年ぶり8度目の4強進出へつなげていこうとしている。
(文=寺下友徳)