日大山形vs延岡学園
【好投の庄司瑞(日大山形)】
日大山形が15得点圧勝で2回戦進出!
第68回国民野球大会が開幕。
今年は東京都・八王子市で開催。[stadium]八王子市民球場[/stadium]は国体の開催に合わせて球場を拡張し、フェンスが91メートルから99メートル、スコアも手書きのモノから電光掲示板になった。リニューアルした[stadium]八王子市民球場[/stadium]での第1試合は選手権準優勝の延岡学園とベスト4の日大山形との対戦だ。
だが試合は序盤から点差が開く展開となってしまった。
1回表、日大山形は1番青木 龍成(2年)が左二塁打、2番中野 拓夢(2年)の内野安打。3番峯田 隼之介(2年)の死球でいきなり無死満塁のチャンスを作る。4番奥村 展征(3年)の右前適時打で1点を先制。さらに5番吉岡 佑晟(3年)の押し出し四球、6番淺沼 孝紀(3年)の犠飛で3点を先制。二死一、二塁となって、8番板坂 絋貴(3年)の遊ゴロ失の間に二塁走者が生還し、4点を先制。
さらに3回表にも一死三塁から6番淺沼の犠飛で1点を追加し、7番庄司 瑞(2年)、8番板坂の連打で二死一、二塁として、9番武田 匠平(3年)の適時打で3回表は計3点を入れて、7対0。4回表には7安打を集中させ、計6得点。5回表には無死満塁から8番板坂の適時打、9番武田のスクイズの間に2点を入れて、5回まで14対0と大きくリードする。
6回表には中野の本塁打で15対0とする。
大差が付いてもエース庄司を完投させるつもりだった。実戦で投げられる状態にある3年生が庄司しかいなかったためだ。庄司は140キロ台を連発していた甲子園と比べると最速は135キロ前後にとどまったが、角度ある直球と縦横スライダーを投げ分けていきながら、投球を組み立て、1失点完投勝利。日大山形が初戦を突破した。
【井出一郎(延岡学園)】
この大勝に日大山形の荒木監督は
「出木過ぎです」
と笑顔を見せた。今大会はまず1勝を目標を掲げており、それに向けて取り組ませてきた。また日大山形は国体と並行して新チームが県大会を戦っており、27日に決勝戦を終えたばかり。秋のレギュラーもベンチ入りする青木、中野以外は補助として参加しているという。
「2年生たちにも国体という場はどういうものなのか知ってほしかった。また勝ち進めば、練習ができますし、いろいろな経験を積んでほしいという思いで連れてきました」
15得点の大量点を入れた先輩たちの姿を見て何か感じ取ったことだろう。プロ志望届を提出した奥村。主将として1勝を目標にしながら、個人としては最後のアピールの場として取り組んできた。少年野球の時代から強く憧れてきたプロの舞台。決心したのは日大三戦での本塁打、そして18U日本代表に選ばれ、プロ意識の高い仲間たちを見てきて、大きく刺激を受けたという。
この日は3安打。右前安打、遊撃内野安打、左中間を破る二塁打。広角に鋭いライナー性、ゴロを打ち返す彼らしい打球を打ち返していた。このように常にマルチヒット、猛打賞を計算できるバットコントロールの良さが売りだろう。
また打撃以外でも気持ちの入ったプレーを見せた。三塁に滑り込むときはヘッドスライディング。やや危険なプレーではあるのだが、弛んだプレーは見せない。遊撃守備でも、安定感のあるフットワーク、スローイング。三遊間へ深い当たりでの俊敏な動きとタイミングばっちりのスライディングキャッチで追いつき、内野安打にとどめた当たりもあり、守備でも、打撃でも存在感を示した。気持ちがあり、チームを考えて自分のプレーをしっかりと表現できる精神的な強さを持った選手であり、上の舞台でも活躍が十分に期待できる選手ではないだろうか。
(文=河嶋宗一)