愛知産大三河vs豊橋南
愛産大三河・平松君
お互いの持ち味を出した投手戦、延長10回愛産大三河がサヨナラ
前日、半田商との接戦を制した豊橋南。派手な印象はないが、選手たちが自分の出来ることをきちんとやっていこうという姿勢が感じられるチームだった。
これに対して愛産大三河も、スケールの大きな選手がいるというワケではないが、それぞれの選手が自分のプレーをひたすらこなしていくという雰囲気で、そんな両チームの好試合となった。
夏休みには、練習試合も組んだことがあるという間柄でもある。お互いに相手の手の内はある程度はわかっているとともに、いい投手がいるということは念頭にあったであろう。
豊橋南は落ち着いたマウンドさばきの白川君がマウンドを守る。愛産大三河は1年生ながらキレのいい投球をする平松君が先発。この二人の投げ合いという展開となった。
白川君は制球がよく、警戒をしてコースを突きすぎての四球を3つ与えてはいたものの、9回まで、愛産大三河打線を4安打無失点に抑えていた。走者を三塁へ進めたのも、5回のみだった。
一方の平松君も9回まで3安打無失点に抑えており、唯一のピンチは5回、先頭の熊谷君に左翼線二塁打され、内野ゴロで三塁まで進められたところだった。ただ、そこも三塁走者をけん制で刺し、ピンチを逃れた。
こうして試合は0対0のまま延長にもつれ込んだ。まさに、1点を争う戦いになった。
サヨナラ勝ちに喜ぶ愛産大三河
そして、その試合は10回の攻防で決着がついた。
先攻の豊橋南は先頭の6番岡本君が右中間二塁打すると、続く白川君もこの日自身3本目となる安打を右前に放ってつなぎ、無死一三塁。絶好の得点機となったが、8番市川海君の一打は快音を残したものの、深川二塁手の真正面のライナーで、思わず飛び出した一走の白川君も刺されて併殺となった。豊橋南としては不運、愛産大三河としてはラッキーな一打だった。そして、その裏に、愛産大三河は得点した。
結局、このピンチを0で抑えた愛産大三河はその裏、1死から1番浅井君が四球で出塁すると、バントで2死二塁。ここで、愛産大三河としては最も信頼のおける深川君の打席だったが、豊橋南バッテリーは迷わず勝負。深川君は2ボールからの3球目を叩いて左前へ運び、これがサヨナラ打となった。
愛産大三河は歓喜の輪が広がったが、さすがに、ここまで食い下がっただけに豊橋南バッテリーはがっくりだった。岡本君はしばしホームベース上でがっくりと両膝をついたままだった。
何とかベスト8進出を決めて愛産大三河の竹治玄造監督は開口一番、「いや~、弱いんですよ。こんなもんです」と、苦笑していた。「10回の守りは1点は覚悟していましたから、(ライナーの併殺で)ラッキーに救われました。相手の投手がいいということはわかっていましたから、苦しむだろうとは思っていました。守りが崩れなかったということも大きかったですね。最後は、唯一夏の経験者の深川だし、歩かされるかと思ったのですが、勝負してくれて、それが結果を出せてよかったです」と、振り返っていた。
(文=手束仁)