中京大中京vs至学館
中京大中京・加藤大君
中京大中京が今夏の逆転負けの雪辱を、同じ小牧市民球場で果たす
夏の5回戦の再現となった注目のカード。夏は、リードしながらも逆転負けを喫した中京大中京。この秋は、満を持してのチャレンジである。
2009年に全国制覇を果たして、翌年も春夏連続出場を果たしたものの、以降は甲子園からやや遠ざかっている中京大中京だ。就任3年目となる高橋源一郎監督としても、そろそろ甲子園出場を果たしたいところであろう。
その中京大中京は初回、山本源君が初球をいきなり左中間二塁打すると、1死後小林君も右中間を破る二塁打であっさりと先制した。さらに、3回にも、加藤大君の中越三塁打と小林君の左越二塁打で追加点、いずれも積極的に初球を叩く好打だった。なおも、バントと四球で1死一三塁となると、ここで至学館ベンチは長身左腕の吐前(はんざき)君を投入。吐前君は187cmで角度のある投球が持ち味だが、垣内君に中越二塁打が出て、中京大中京はさらに2点を加え4対0として、主導権を握った。
5回には4番山下君の中越ソロアーチも出て、5点目。前評判通りの強力打線ぶりを証明した。6、8回にも山本源君の二塁打絡みで加点した。
終わってみたら、14安打中10本が長打。しかも、これが県大会初戦なのだから、それでこれだけ打てるということは打撃力は本物だと言えそうだ。
高橋監督も好感触を得ているようで、「今日は、朝練習をしてから来たのですけれども、いい雰囲気でやれました。それをそのまま持ってきて、いい緊張感を持って入れました。先頭の一撃で勢いに乗れましたね」と、山本源君の初球二塁打が効果的で入りの良さを強調していた。山本君は、この日は二塁打3本。加藤君、小林君と合わせて、1、2、3番で8安打6長打とそれぞれが役割を果たしていれば、それだけ得点力もアップするというものである。
中京大中京・粕谷君
また、先発した期待の粕谷君に関しては、「2回に四死球で満塁のピンチを作ってしまったのですけれども、そこで踏ん張りきれましたね。元々そんなにコントロールは悪くはないはずですから」と、粕谷君の粘りの投球も評価していた。
相手に思惑通りの試合をされてしまった至学館の麻王義之監督は、「あれだけ長打を打たれてしまってはどうしようもないですよ。吐前は、素材力としては高いと思うのですが、まだまだストレートもコースが甘いですし、そこをきっちり打たれてしまいましたね。安定感としては安井の方があるので先発させたのですが、最初に少し球が浮いたところを狙い打たれて、リズムに乗れませんでした」と、反省しきりだった。
しかし、そんな麻王監督もチーム全体の雰囲気に関しては、「2年前に甲子園に出た時のチームと似たムードがあるような気がしているんですよ。それを感じていますから、一冬越えてどこまで伸びていかれるか、楽しみなところもあります」と、前向きにとらえていた。
2011年夏の至学館の甲子園初出場を見て入ってきた生徒も多く、旋風を起こさせる潜在力は十分に感じさせてくれるものだった。
(文=手束仁)