岩倉vs東京高専・都立八王子桑志
前半苦しんだ岩倉、後半に何とか追加点を挙げて逃げ切る
八王子桑志・佐藤守君
東京高専と都立八王子桑志の連合チームの健闘が光った試合だった。
連合チームの規定は、両チームともに部員が9人未満のチームということが条件になる。また、9人未満の人数のチームが、20人以上いるチームから選手を援助してもらった場合は、助っ人としてそのチームに所属するということになる。東京高専は5人、都立八王子桑志は7人なのでこの場合は連合チームとなる。
連合のマウンドは都立八王子桑志の佐藤守君だが、これが緩い球を巧みに駆使しながら、丁寧に丁寧にという気持ちで投げて、岩倉打線を5回まで3安打1失点に抑えていた。制球が悪くなく、上手にコースを突いていたということも、好投につながったのであろう。3回の1点も、2死三塁から遊撃ゴロ深いところでわずかに送球が間に合わなかったことで許した1点だった。
逆に、連合は2回に2死走者なしから中北君が四球で出ると、7番佐藤恵君が一二塁間を破り、続く小俣君が一見非力ながら、チョコンと合わせた打球がポトリと左前に落ちて、先制タイムリーとなった。
試合前にはコールドゲームを予想する人も多かったくらいなのだが、まさかの展開になっていった。岩倉としても、ここまで打ちきれないと、徐々に焦りが出てきてしまうところでもある。5回までは、岩倉の宮崎君もストライクとボールがはっきりとしすぎという内容で、ばたついており、カウントが悪くなったところでストライクを取りに行って打たれてしまうというパターンだ。2回の失点などは、まさにそれだった。
岩倉・宮崎君
それでも、グラウンド整備を経て6回、相手打線を3者凡退に抑えて、これで岩倉がいい感じで攻撃に入っていかれた。6回は2死から森山君が中越二塁打すると、途中から出場していた伊藤君が中前打で帰してこれで勝ち越し。
さらに7回には、これも途中から出場していた高橋君が巧みにバント安打で出ると、江上君が一二塁間を破って一三塁。盗塁で二塁へ進むと、宮崎君のポテン安打で追加点が入り、さらに磯口君のスクイズが安打となって、4番森山君が2打席連続の二塁打で2者が帰って、やっと岩倉は安全圏のリードを得た。
さすがに試合後の磯口洋成監督の表情は渋かった。
「今年のチームは強くはないとは思っていますけれども…、先日の日大三との練習試合で30点(2試合)近くも取られて、それが発奮材料にならないで自信喪失になってしまいましたね。進塁打を打つために、エンドランのサインが出たら転がすだとか、バントは確実に決めるだという、簡単な決めごとができないんですね」と、嘆き節だった。また、宮崎君に関しても、立ち上がりにロッキングモーション気味になっているところを審判から注意されると、そのことで精神的にも委縮してしまったようだ。
「すぐに自分の世界に入り込んでしまい、それでやってしまう子なんですよ。スタートの捕手が1年生だったということも、気持ちに影響したのかも知れません」と、精神面の成長を期待していた。5回あたりから、投球リズムがよくなったのは、捕手を交替したというところもあったのかもしれない。
それでも、「実は、一人秘密兵器の左もいるんです」と、磯口監督は、愚痴ばかりではなくチームとしての期待もあるということも明かしてくれた。その秘密兵器がベールを脱げるかどうか、それは岩倉が本大会に進出するのかどうかというところにもかかっているようだ。
(文=手束仁)