延岡学園vs自由ケ丘
九州対決となった2回戦最初の試合、積極攻撃の延岡学園が制す
この試合から、甲子園は2回戦に突入した。2回戦の最初のカードは図らずも九州勢対決となった。
福岡代表の初出場自由ケ丘と、3年ぶり7回目の出場となった宮崎代表の延岡学園だ。自由ケ丘は、ユニフォームに漢字で「福原学園 自由ケ丘」と力強く書かれている。漢字の2段重ねのユニフォームというのも比較的珍しい。
また、延岡学園は、桜の花びらをイメージしたという薄いピンク色の地のユニフォームで、それが真夏の陽に足らされると独特の輝きを持って見える。そんな、不思議な色のユニフォームは甲子園に出場を果たしてこそより輝けるものなのかもしれない。
先行したのは自由ケ丘だった。3回に自由ケ丘は失策の走者をバント野選で進め、さらに送りバントで一死二、三塁とすると、1番尾崎君の中前タイムリーで還した。いろいろ仕掛けて行こうという自由ケ丘の赤嶺琢監督の思惑が、まずは上手く機能したという感じでの先制点だった。
これで試合が動き出すと、延岡学園もすぐに追随する。
延岡学園は4回にすぐ、死球の走者を盗塁で進めると、9番奈須君の一塁手のグラブをかすめる内野安打の間に生還して同点。しかし、自由ケ丘も次の塁を狙う走者を巧みに刺すなどして、守りの精度の高さを示していた。
そして、自由ケ丘はその裏、4番渡邊君が左中間二塁打で出ると、バント野選もあって一、三塁となる。ここで、延岡学園は先発の奈須君を諦めて左腕の横瀬君につなぐのだが、ここで一塁走者が牽制球に挟まれる間に、三塁走者がホームインということで、結果的にはホームスチールで自由ケ丘が再びリードした。
ところが、動きだした試合はそれでとどまらなかった。5回に延岡学園は1番梶原君の左越二塁打で反撃機を迎えると、不正打撃でのアウトはあったものの、3番坂元君は三遊間を破って再び同点とする。さらに、二死二塁から5番濱田君が左越二塁打して、延岡学園としてはこの試合で初めてリードを奪った。延岡学園は、打撃には自信を持っていただけに、こういう形で逆転できたことで試合の主導権を持つことができた。
4回途中からリリーフしていた横瀬君も投球のリズムがよく、リリーフのマウンドに立って以降は終始自分の投球を続けられたこと。また、投球のテンポがいいので、まさに自分の投球という感じで、ポンポンと自分のリズムで投げ込んでいくことができて、投球リズムを崩すことがなかったというのも大きかった。
そして9回は簡単に二死をとった後、代打梶原君の一打は快音を残して長打コースだったが、延岡学園の中堅手坂元君がダイビングキャッチ。まさに、この試合を象徴するような形でのフィニッシュとなった。
延岡学園の重本浩司監督は、ある程度しイメージ通りの試合だったのではないだろうか。
「先制はされましたけれども、引き離されないでついていけましたから、それがよかったと思います。継投は予定していましたが、リリーフした横瀬はよく投げてくれました」と、称えつつも、
「打撃は思い切って振っていくようにしていって、それがいい結果になったところもありましたけれども、見逃しもありました。ヒットの割には点が取れなかったことも次への課題ですね」と、厳しさを示していた。
夏の大会前には関東から強豪校を招待して強化試合などを組んできている宮崎県。甲子園での今日の戦いなどでもその成果を示していたといえよう。
(文=手束仁)