報徳学園vs社
引き分けに持ち込んだ社バッテリー
延長15回裏の攻防
延長戦。両チームとも勝負を決める1点をあげられないまま、ラストイニングとなる15回を迎えた。
社は5回からリリーフしていた平内翔太(2年)が、報徳学園はエース・乾陽平(3年)が10回からマウンドを守っていた。
決着か?それとも引き分け再試合か?
15回表、先攻の社は報徳学園・乾に2番からの上位打線で挑むが、わずか8球で三者凡退に打ち取られた。
勝ちがなくなり、引き分け再試合を目指して守備に就く社ナイン。報徳学園最後の攻撃は、途中出場の8番平田竜誼(3年)から。マウンドの平内は、「攻めていこう」と気持ちにブレはなかったが、その平田にレフト前へと運ばれる。
打席は9番乾。ここで報徳学園の永田裕治監督は、もうマウンドに上がる必要がなくなった乾に代え、土谷勇輔(2年)を代打に送る。勝負所での起用の意図は、もちろん“送りバントを決める”ことだった。
打席に立つ土谷と同様に、その意図を感じていた男がいる。それがマウンドの平内。
「バントをさせずに、一つアウトを取る」とキャッチャーの小端智哉(3年)との意思疎通はバッチリだった。
1球目がボール、2球目がバントファウルとなった後の3球目。攻めの気持ちを貫いた平内の直球に土谷のバットは根負けした。打球はキャッチャー小端の正面。すかさず二塁に送球し、そして一塁へ。報徳学園にとっては最悪のダブルプレー。肩を落とした永田監督に対し、マウンドの平内は「してやったりでした」と笑みを浮かべた。
この後、1番新井勝鏡(3年)が四球で出るも、牽制で誘いだされてタッチアウト。
2時間58分の戦いは、ついに両チーム無得点で終わった。
(文・編集部)