皇學館vs久居農林
皇學館・新田宙樹
投打に2年生コンビが活躍 皇學館快勝
春の三重県大会が20日、開幕した。[stadium]津市営球場[/stadium]では、投打に2年生コンビが活躍した皇學館が快勝し、2回戦へ駒を進めた。
冬の練習の成果が表れた一撃だった。皇學館の3番・新田 宙樹(2年)が初回、相手ピッチャーのストレートを見事にとらえ、ライトスタンドへ高校通算2本目のホームランを叩き込んだのだ。
「変化球待ちでもストレートに対応できるよう、冬からずっと取り組んできたんです。ピッチングマシンを使い、(ストレートを)体に近いポイントで、軸で速く回転して打つという練習をしてきました」
176センチ・83キロというがっちりした体型の新田は、中学時代から変化球攻めに合ってきた。といって変化球に狙いを絞ると、ストレートに対応しきれない―。そんな状況を打破すべく特訓を重ね、春の練習試合こそ「芯の近くでとらえても安打にならなかった」というが、この日の県大会初戦できれいにワザを決めたのだ。
皇學館はこの日、各バッターが打席での狙い球を岡部博英監督に合図で伝えるという“逆サイン”が約束事になっていた。
「チームとしてつなぐことは出来ても(走者を)返すことができない。返す役割ができるのは誰かなと考えたときに、スコアリング・ポジションに走者を置いた場面で、各選手がどう考えるのかをみたかったんです」(岡部監督)という意図からだ。その点で、新田の感性は監督をも唸らせた。
「安打にならなかった打席も含め、新田は読みが優れていた。ドンピシャでしたね」
新田は昨夏の甲子園大会をテレビで見る際、スコアをつけて配球を研究。また小学生のころから、野球雑誌やテレビのバラエティ番組でおなじみの「タイツ先生」こと吉澤雅之氏(皇學館大学非常勤講師)の指導を毎年受けてきたそう。引き出しの多さも強打につながっているようだ。
皇學館エース・戸上綾基
同級生の新田に負けじと、2年生エース・戸上綾基も好投した。
右打者の外角への制球が素晴らしく、球にキレがあった。圧巻は初回のスリーアウト目から始まった六者連続三振だ。「ストレートが走っていたので、コースに決めていった」という結果、自身も驚く奪三振ショーに。試合を通じて計12個の「K」を並べた。
指揮官も「試合前に『エースのオーラで試合を支配してほしい』と伝えたが、ここ一番でやってくれた」と称えた。
投打がかみ合った皇學館。4回裏には9番・森俊佑(2年)、1番・右京駿一(3年)、2番・東拓人(3年)の3連続長打で中押しに成功。県大会初戦を手ごたえ十分の白星で飾った。
敗れた久居農林は打線が湿り気味だったが、試合終盤にチャンスをつくるなど最後まで粘った。上位打線で起用されている大鹿宏海(3年)、山原宏斗(3年)はともにマルチヒットをマーク。ショートとして先発出場も4回裏途中からリリーフ登板した大野友也(3年)が相手打線の勢いをそぐ好投を見せた。
(文=尾関 雄一朗)