北山vs八重山商工
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▲父へのプレゼント!3点目のタイムリーを放つ神谷塁
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二人の孝行息子が送ったビッグな誕生日プレゼント!
「今日は僕の誕生日なんです。ずっとこの日だけは負けたことが無かったので、今日も大丈夫だと思ってました」と北山神谷善隆監督は試合後に語った。学童軟式野球チームでのホテルタニュー杯で優勝や、今帰仁中学、そして北山高校とステージを移してもその強運は神谷監督から離れることは無かった。しかしそれは、選手と監督の強固な信頼関係があって初めて成せる技でもある。息子の神谷塁が「誕生日なので、試合前はヒット1本プレゼント出来れば良いなと思ってたけど、あの8回は勝利に近付く大事な場面。絶対打ってやろう」と思いを語ったが、それはナイン全ての代弁でもあった。
好調仲里正作のタイムリーと犠飛で優位に進める
先制したのは北山だ。3回、一死から安座間がヒットで出塁するとすかさず盗塁を決める。するとこの大会、前打席まで16打数8安打と打率5割の好調3番仲里正作が期待に応えるタイムリー二塁打を放つ。さらに5回、北山は先頭の安座間がライトへ二塁打。追加点を奪いたい場面で2番。ここは当然送りバントの場面だろうと誰もが思ったが、「ケースバイケース。相手も(犠打だろうと)そう思って外に配球してくるだろう」(神谷監督)と計算し尽くされた強攻策が当たり、ヒットで無死一・三塁。そして再び仲里正が今度は高々と上げる犠飛で2点目を刻んだ。八重山商工先発の加藤弦は伸びのあるストレートで3回までに6つの三振を奪う力投を見せる一方で、少し単調になった配球を読まれ勝負どころで打たれてしまった。
[page_break:オヤジの笑顔が見たい気持ちがピンチの芽を摘み取る]オヤジの笑顔が見たい気持ちがピンチの芽を摘み取る
タイムリーを放つ八重山商工・原田泰成
八重山商工の反撃は6回表。ニ死一・三塁とし4番原田泰成がライトへタイムリー。なお一・二塁とされるも「自分も苦しい場面だけど、相手も(追いつかなきゃと)苦しいだろうなと。もしそうなら力は自分が上なんだから」と開き直った平良拳太郎が後続を絶った。粘る八重山商工は8回にも一死満塁と一打逆転の場面を作り出すが、「ベンチを見たら監督が真剣な顔をしていたので。こりゃ打たれたら怒られるなと」思った平良。だがその言葉の裏には、「絶対抑えてオヤジの顔を笑顔に変えよう」との気持ちがあったという。前の打席でタイムリーを打たれた原田に対し、詰まったセンターフライに打ち取り三塁走者を進ませず、後続の後原大輝にも「思い切り投げた」というインコースのストレートで空振り三振。
するとその裏、北山は一死三塁から冒頭で触れたように、父と一緒に決勝へとの思いを乗せた神谷塁の打球が右中間への貴重なタイムリー二塁打となる。次打者にもライトへタイムリーが飛び出し八重山商工の戦意を喪失。9回を三者凡退に抑えた平良は、これで2回戦からの4試合全てに完投(延長11回を含む)。6回から疲れが見えたものの、無四球で全140球の力投を見せた。ホントの父親である神谷塁はもちろん、平良をはじめとする全てのナインが神谷監督を「オヤジ」と呼んで慕う北山ナイン。試合後に誕生日ケーキを用意して39歳のバースデーを祝うと同時に、同校初の決勝への舞台へと歩み出た。
(文=當山雅通)
八重山商工 | TEAM | 北山 | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
二塁 | 徳元将真 | 1番 | 二塁 | 安座間海 |
遊撃 | 新城仁貴 | 2番 | 遊撃 | 仲地 航 |
中堅 | 平良慶太 | 3番 | 捕手 | 仲里正作 |
左翼 | 原田泰成 | 4番 | 右翼 | 仲里 樹 |
捕手 | 後原大輝 | 5番 | 中堅 | マックスウェル |
右翼 | 根間信明 | 6番 | 三塁 | 神谷 塁 |
一塁 | 上原卓朗 | 7番 | 一塁 | 宮城竜平 |
三塁 | 野原大地 | 8番 | 左翼 | 山城魁樹 |
投手 | 加藤 弦 | 9番 | 投手 | 平良拳太郎 |