北照vs沖縄尚学
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先制ホームを踏む知念（沖縄尚学）
予想外の一発で2年連続ベスト4
2年連続のベスト4を狙う北海道代表・北照と初出場の沖縄尚学の対決は小雨混じりの中、行われた。降りしきる雨により身体の体温が奪われそうな寒さ。選手たちは寒さにこらえながらも、ボールを追っていた。試合はこの寒さ同様、辛抱強さがいるゲームとなった。
試合は3回に動く。3回表、沖縄尚学は2番知念 佑哉（2年）がセーフティバントを成功させてヒット。3番西平 大樹(1年)が犠打を決めて、一死二塁。4番柴引 佑真(2年)が、北照の先発・大串和弥(2年)の真ん中に入るカーブを叩いてライト前ヒット。一死一、三塁とチャンスを広げる。この場面で5番名嘉 昇司（2年）がセンターへ犠牲フライを放ちで1点を先制する。
その裏、北照は一死から 9番西谷 圭祐（2年）が1ストライクから外角ストレートを流し打ちし、ライト前ヒット。1番冨田 魁仁（2年）は外角のストレートを打ってセンター前ヒットを放つ。一死一、三塁で、2番五十嵐 竜太郎（2年）がスクイズを決め、同点となった。さらに勝ち越したい北照は二死二塁から3番吉田雄太がセンター前ヒットを放ち、二塁走者がホームへ突っ込むが、センター・知念 佑哉(2年)の好返球に阻まれ、タッチアウト。勝ち越すことはできなかった。
北照のエース大串は、沖縄尚学打線に決定打を許さない。4回には、一死一、二塁のピンチを招くが、1番諸見里 匠(2年)の痛烈なセカンドライナーを、五十嵐がキャッチ。ダブルプレーにして切り抜けた。5回表にも一死二塁のピンチに4番柴引、5番名嘉のクリーンアップを打ち取る。7回表にも一、三塁のピンチをも凌ぐと、8回表の一死一、二塁の場面でも8番宇良 淳(2年)をダブルプレーに打ち取った。
大串自身は、8回表の併殺が一番おいしかったそうだ。速球、変化球のコンビネーションで勝負する大串。日によって一番自信のある変化球を使っていくが、この日はチェンジアップ、シュートが良かった。宇良にはシュートで引っかけさせ併殺に打ち取った。
サヨナラ本塁打を放った大串を出迎える北照ナイン
この日は雨が降っていて、制球を乱しやすい。自分の思い通りにコントロールするのは難しかったはずだが、大串は淡々と投げこんでいた。雨でも自分の投球ができるのも雨でも外で練習を積み重ねたからだという。河上敬也監督が説明する。
「うちには雨は関係ありません。公式戦はこういう状況下で試合をやるものですから、多少の雨が降っていても外でやらせます。その中で平然と投球をすることが求めています」
大崩れせず、常にローリスクで安定した投球ができるのは、気候に左右されずに結果を出すことが求められていたからだろう。凄みはないが、落ち着いている。
沖縄尚学もエース左腕・比嘉 健一朗（2年）、右腕・宇良 淳のリレーで北照打線を抑え込んで、試合は9回を迎えた。
9回表の0点で切り抜けた北照。河上監督はタイブレークになることを想定していた。
「打線は7番から。下位打線ですし、打ってサヨナラになることは考えにくい。うちは去年の神宮大会（鳴門戦）でもタイブレークを経験していますし、その準備はできておりました」
しかしここで予想外のことが起こる。一死からピッチャーの大串がサヨナラ本塁打を放ったのだ。まさかの伏兵の一発に河上監督は驚きを隠せなかった。
「ちょうどあの時、捕手の小畑(尋規＝2年)とタイブレークについて相談していました。その時に本塁打が生まれまして、予想外でした」
北照らしい粘り強い戦いを続けた試合であった。北照らしいというよりも大串の粘り強さがそのまま今年のチームカラーに反映されているかもしれない。この勝利で、2年連続ベスト4。次は強打の仙台育英と対戦する。
（文＝河嶋宗一）
