常葉菊川vs静岡市立
登地慶輔(常葉菊川)
常葉菊川、スタイルを変えながら好発進
2008年夏から甲子園から遠ざかっている常葉学園菊川。東海枠が従来の「2」から「3」に広がった来春のセンバツは久々の甲子園出場を狙う。
この試合、初回に2点を先制すると、3回にも1点を追加。中盤に1点差まで追い上げられるも、終盤に突き放した。投げては先発の穂積大河がランナーを出しながらも、7回を2失点に抑え、最後はエース・堀田竜也が締めた。
常葉学園菊川の強力打線を牽引するのは1番打者の登地慶輔。初回にライトのグラブをはじく二塁打で先制の足がかりを作ると、3回にはセンターオーバーの三塁打を放つ活躍だった。駒のようにクルッと回転する打撃スタイル。体の遠心力を使ってボールを飛ばしていく。さらに7回には四球で出塁すると、すかさず二塁へ盗塁。センターを守る守備は球際にも強く、走攻守の三拍子が揃った好選手だ。
常葉学園菊川といえば、「バントなしの豪快な打撃」というイメージが強い。しかし、この秋の新チームはランナーが出れば確実にバントでランナーを進める。この日も計3つの送りバントを使った。従来のスタイルとは、明らかに変わってきている。
しかし、試合後、森下知幸監督は「負け試合だった」と話すように、不満そうな様子だった。得点圏にランナーを進めてもチャンスであと1本が出ない。「初戦ということで余計な力が入ってしまったのでは」と森下監督は分析するが、今後の戦いでは、いかにして効率よく得点を奪うかが課題になるのは間違いない。
一方の静岡市立では4番の杉村和彦がライトスタンドにライナー性の本塁打を放った。174センチと上背はそこほどないが、思い切りボールを叩いた一撃。まだ1年生だけに今後のノビシロにも注目していきたい。
投手陣ではエース・唐澤共輝の不調が痛かった。スライダーを中心に攻めていく投手スタイルだが、序盤は球が高めに浮いたところを狙われた。今秋の地区大会では打球が顔面直撃。それでも中一日で志願登板したガッツ溢れる投手だ。一冬を越してどこまで成長するのか楽しみにしたい。
(文=静岡高校野球編集部)