徳島北vs城ノ内
ユニフォーム一新・徳島北に「超特急」デビュー!
僕も(監督)就任4年目になりましたし、昨秋、昨春とあと一歩で決勝進出に届かなかった流れを打破したくて」(島一輝監督)、この6月にこれまでの白地にブルー文字「KITAKO」から、鮮やかなブルー字と縦じまに「KITAKO」が浮かび上がるユニフォームを一新した徳島北。彼らはその夏お披露目試合となった城ノ内戦で安定したゲーム運びを演じた。
まず1回二死一・三塁から5番主将の姫田泰聖(3年)の適時打で先制すると前半から着々と得点。8回にはこれまで相手打線を無失点に抑え込んでいた先発・石川和(3年)が、二死二・三塁から自らを助ける2点適時打で試合を決めた。
こうして「後半勝負」(福岡秀祐監督)のプランを崩された城ノ内だが、0対5で迎えた8回裏に4安打を集中させ、一挙3得点を奪った反撃は見事。「勝つこと以外全部できた」と試合後集合で指揮官が褒め称えた3年生7人を中心に戦った彼らの敗戦は決して恥ずべきものではない。
【ピックアップコラム】
「俊足」。スポーツにおいては絶対的なアドバンテージを示す言葉である。特に野球界では「ピンチランナー(代走)」という役割もあるように、俊足さえあれば飯が食える可能性が広がる。
事実、プロ野球では東京・メキシコ五輪100m走日本代表の飯島秀雄(ロッテ)をはじめ、藤瀬史朗(近鉄)、今井譲二(広島)、現役選手では三輪正義(東京ヤクルト)など、数々の俊足選手が「超特急の足」で観客を魅了してきた。
そして2012年夏。徳島県高校野球界にも俊足を売りにする新星が出現した。徳島北高校1年生の濱口建(1年)がその人である。
神山東中では野球部に所属しながら陸上100mで11秒80のベストタイムをマークし、100m×4リレーでは日本中学陸上界の最高峰大会であるジュニアオリンピックにも出場。「足と思い切りのよさがいい」と島一輝監督から評価され、いきなり1番右翼手でスタメンデビューを飾ったこの日も「緊張した」と言いつつも打っては1安打1盗塁。守っては俊足を飛ばしての好守を再三披露した。
「将来的には打って守れて走れる選手になりたいが、まずは守りからリズムを作れる選手になりたい」と試合後には現在164㎝62㎏の体を弾ませるようにして初々しく抱負を語った濱口。50m走6秒5という加速型脚質を瞬発系に転換することができれば、来年、再来年には相当楽しみな存在となりそうだ。
(文=寺下友徳)