伊集院vs指宿
互いを“信頼”する力
シード校の伊集院としては薄氷の勝利だった。
先発の山下雄也(3年)、二番手の大迫琢真(3年)の両投手で13四死球と安定感を欠いた。
試合がようやく引き締まったのは7回からだった。4番新郷翔太(3年)のレフト線二塁打で3対2と勝ち越す。
その裏に同点とされたが、8回には9番中里彰良(3年)、1番池田賢史(2年)と連続タイムリーが出て、伊集院らしいつながりのある攻めで3点を勝ち越した。
このまま逃げ切るかと思われたが、9回二死から指宿が粘る。エラーを皮切りに1番淵田恭介(3年)がセンター前ヒットでつなぎ、双子の弟・2番臼山秀平(3年)がライト線に走者一掃の三塁打を放って敗色ムードを一掃。
同点、逆転のムードは高まったが、3番の兄・恭平がピッチャーフライに倒れ、あと1点届かなかった。
「点を取っても浮足立たずにしっかり落とし、逆に点を取られても落ち込まないようにみんなで声を掛け合う。ベンチの20人がみんなで1点を取り、みんなで1点を守っている雰囲気ができている」と伊集院の西薗隼太朗主将(3年)は言う。
「互いを信頼する」(西薗主将)気持ちがチームになかったら、一気に崩れてもおかしくないピンチは再三あった。課題も多く残った試合だが「こういう厳しい試合を勝っていった方がチームは成長する」と内野公貴監督はチームの今後に期待した。
一方、終盤の猛追及ばず敗れた指宿・谷口裕司監督は「あと1点、あと1本、あと1球の勝負で、もう一つ思い切れなかった。こういう展開を勝たせてあげられなかったのは監督の責任。最後までお互いを信頼し合える野球ができた」と選手たちの粘りを称えていた。
(文=政純一郎)