明桜館vs出水
練習してきたこと、出せて良かった
学校創立3年目の明桜館が、2年ぶりの夏1勝を手にした。山下直樹監督は「練習してきたことが出せて良かったです」と興奮気味に振り返った。
序盤の3点が大きくものをいった。
「左投手が先発してくると予想して対策を立てていた」と話した山下監督。
打撃練習で左の打撃投手を投げさせて球筋に慣れさせた。予想通り左が先発だったことで心理的に「行ける!」気持ちになれた。
1、2回で押し出しも含めて4四球を選んでいるが、いずれも2ストライク追い込まれながらも粘ってとったもの。「うちの打者は初球から打たない消極的なところがあるが、それが良い風に出た」と中馬晃瑠主将(3年)は謙そんするが、2回の先頭打者で四球を選んだ松元弘毅(3年)は「塁に出ることだけを考えて、ストライクはカットして粘った」という。
1回にタイムリーを放ったのは5番・竹之内司(3年)、2回は4番・中馬。各打者が自分の役割を確実に果たしてもぎ取った3点だった。
2回の途中からは、リリーフした右横手のエース勝目孝介(3年)の緩急をうまく使った好投に抑えられた。
4回にダメ押し点を挙げたものの中盤以降の流れは完全に出水に傾いた。2点差まで追い上げられる苦しい展開をしのげたのは、松元と二番手・脇田勇気(2年)の好投だった。
「いつものような直球の走りも、変化球のキレもなくて調子は良くなかったけど、バックを信じて投げ切れた」と松元。
背番号10の脇田は「ベンチに入れようかどうか迷った」(山下監督)2年生だったが、「一番遅くまで残って練習する努力」(中馬主将)が認められ、先発としても起用できそうなほど成長した投手だ。
9回は一死一二塁と一打同点のピンチを背負ったが「最初は緊張したけど、投げるごとに調子が出てきて、最後の回は直球が厳しいコースに決まってくれた」と脇田は話した。
3年生は、新設校1年目の夏から公式戦に出ているメンバーだが、1年夏と秋に1勝ずつ挙げて以来、県大会で勝っていない。
「経験豊富なメンバーと言われているけど、県大会で勝たない限り、経験とは言えない」と山下監督。
1年半勝てなくて苦しんだが、良いかたちで勝つことができ何より大きな「経験」を夏の初戦で積めた。
(文=政純一郎)