都立調布南vs都立葛西工
葛西工・小笹君
ハイテンポの投手戦、終盤に流れを変えた調布南が逆転勝ち
5回を終了した段階でわずかに38分という、速いペースの試合。お互いの投手が自分のリズムでテンポよく投げていっすぐにたことで、歯切れのいい投手戦となった。
葛西工の小笹君は7回までで55球という省エネ投球だった。そして、その裏に、二番に入っている小笹君自身が安打で出ると、バントで二進すると、秋元君が三遊間を破って一三塁。ここで、志和君がスクイズを決めて、貴重な先取点を奪う。
しかし、調布南はこれで慌てなかった。
増島賢保監督も、「これで試合は動きだすから、行くぞ」と、ベンチで声をかけて、打線もストレート狙いからスライダー狙いに切り替えた。
これが功を奏して8回、先頭の六番北尾君が左翼線への三塁打で好機を作ると、内野ゴロ悪送球ですぐに同点とした。さらに、バントが安打になるなどで好機を広げると、九番川辺君のスクイズで逆転。二塁走者も2ランスクイズ狙いで迷うことなく本塁へ向かったが、ここはタッチアウト。それでも、積極的な走塁は相手にプレッシャーを与えた。
そして、9回にも三番牧野君が左越二塁打すると、2死後北尾君の左翼線二塁打でダメ押しとなった。
調布南・川辺君
そのまま、調布南が逃げ切ったのだが、川辺君が右サイドからのツーシームと自身工夫して編み出したシンカーなどを駆使して、低めへの制球力を示して終わってみれば4安打に抑えて、7回の1失点のみだった。川辺君の好投が光った試合だったのだが、増島監督は、「そんなに打てるチームではないので、こういう試合になってしまうのは仕方がないですね。ただ、7回の1失点は非常に嫌な流れではあったのですが、直ぐに返すことが出来て、これで流れを引き寄せられました」と、接戦を終盤で逆転することが出来て安堵の表情だった。
葛西工は、ベンチ入りわずか10人だったが、チームとしてのまとまりは感じさせてくれた。ことに、小笹君はキレのある投球で、しっかりと打者に打たせていき、バックもよく守っていた。終盤に失策絡みで追いつかれ、逆転を喫したものの、好チームという印象を残してくれた。
試合時間も、1時間19分というスピーディーなものだった。貧打と言ってしまえば、お互いに貧打だったかもしれないが、それ以上に両投手を中心とした守りが勝っていたと言っていいだろう。
(文=手束仁)