小豆島vs尽誠学園
4回裏、暴投の間に小豆島の土居優馬(3年)が三塁から生還
打てなければ足で稼ぐ。小豆島の「こだわり走塁」
1点を争う好ゲームは3対3の同点で迎えた9回表。
小豆島が1死後から死球を挟む3連打で3点を加えるとそのまま押し切り、初の決勝進出を果たした。
尽誠学園は2度に渡ってリードし、また7安打の小豆島を上回る12安打を放ちながらも好機にもう一歩が出ず、惜敗。エースの香川知正(3年)は制球よく丁寧なピッチングを続けたが、最後に掴まった
試合後の小豆島の杉吉勇輝監督は、再三に渡りピンチを背負う展開に「疲れた」と漏らすも充実した表情。
「接戦で勝てるチームではなかったので、とても嬉しい。選手と一緒に僕自身もハラハラして楽しかった。こういう痺れるゲームで、いかに緊張感をエンジョイするか(が醍醐味)。とてもいい機会を与えてもらった」と加え、表情のうちを語った。
試合の勝因については、相手ピッチャーの暴投で3塁から本塁へ生還した4回表の土居優馬(3年)の走塁を指摘。「際どいタイミングだったが、あの1点で同点に追いつけた。うちらしい、ガツガツいくスタイルでよかった」と、チームに勢いももたらすキャプテンの手柄を手放しで褒めた。
6回表、レフト線へ適時二塁打を放った小豆島の赤澤慎吾(3年)
8盗塁を決めた準々決勝の多度津戦をはじめ、今大会では機動力を活かした攻撃を披露する小豆島。
指揮官は自ら〝こだわっている〟と称した走塁練習について、「うちは長距離の走り込みは一切しません。試合では長距離を走ることがありませんので。その替わり、塁間の距離を意識したダッシュを何本も繰り返します。走塁が上手な藤井学園さんを指揮する(小林大悟)監督にも選手は貪欲に教えを請いました。うちのように打てないチームは、試合のどこかで“ただ”で(ヒットに値するものを)もらわないと。だから少しでも可能性があればスタートを切りますし、そのための準備は十分にしています」と明言した。
初の四国大会出場と併せて手にした智弁和歌山との招待試合の権利も、「やりたかった相手。交通費が浮いた!」と手放しで喜んだ杉吉監督。余計にかかる交通費を含め、様々はハンデを背負う島野球の夢の甲子園が、射程距離に入りつつある。
(文=和田雅幸)