東海大望洋vs市川
エース大貫(市川)
東海大望洋が2回に5点を奪う集中打で市川を破りベスト8進出
秋季千葉県大会3回戦は10月1日に予定されていたが、習志野の国体出場のため日程を変更。9月28日に行われ、[stadium]市原臨海球場[/stadium]の3試合は[stadium]習志野秋津球場[/stadium]に変更となった。
こちら[stadium]習志野秋津球場[/stadium]の第1試合。東海大望洋と千葉市川の対決である。
千葉市川のエース大貫に目がとまった。右のサイドハンド。上背はなく、投手としては小柄。体の使い方が上手く、ボールを前で離すことが出来ている。球速は130キロ前後と速くはないが、キレは中々のものがある。特に横滑りするスライダーは右サイド独特の滑りをしており、右打者にとっては非常に打ち辛い球種である。だが右サイドは左打者を苦手とする。右サイドスローの球筋は右打者にとっては逃げていく球筋だが、左打者にとって角度はなく、向かっていく球筋なので、打ちにくさはそれほどない。
それが嵌ったのは2回表。東海大望洋は左打者が中心となって大貫を打ち崩していく。
山村の安打で出塁、5番久保山がセンターへ深い当たりを放つ。アウトにはなったが、左打者の久保山が鋭い当たりを打ったことで突破口を開ける予感はした。
6番岡野がライト線二塁打で一死2,3塁。7番中村の四球で一死満塁となって8番梅澤が左前安打で2点を先制。さらに9番佐藤も左前安打で1点。1番豊田の時にバッテリーミスで1点を追加する。2回の攻撃は左打者の岡野、梅澤が得点に絡んでいた。さらに3回の表にも1点を追加し、3回を終えて5対0と試合を優位に進めていく。
野間(東海大望洋)
東海大望洋の先発・佐藤は右スリークォーター。ストレートは120キロ後半~130キロ前半(最速134キロ)を計測し、横滑りするスライダーを売りにする投手だ。3回まで無失点に抑えていたが、4回裏に二者連続四球。悪い流れを断ち切るためか、佐藤は降板し、背番号1の野間を投入する。
野間は二塁併殺に打ち取りピンチを切り抜けた。だが5回裏に先頭の矢島が中前安打。一死になったが、1番安田が中前安打、2番小林の右前安打で一死満塁のチャンスを作る。3番箱崎は浅い右飛。ランナーは突っ込めず二死満塁。4番赤木が初球を捉えて左前適時打で2点を返し、5番飯田の右前適時打で1点を追加し、5対3。試合の行方が分からなくなる。
試合はもたつくように見えたが、両投手が6回から好投を見せる。大貫は右打者には徹底とした外の配球。時折外を活かすために内角で体を起して、そしてスライダーで打ち取るコンビネーション。スライダーのコントロールが冴え始め、右打者は捉える事が出来ない。左打者には内角へ食い込むスライダーを選択した。すると左打者が次々とインスラに詰まらされて内野フライになっていくではないか。右サイドは臆することなく、左打者の内角へ食い込む球を投げ続けられるかが抑える秘訣となっていく。
野間はコントロール重視の投球。両サイドへストレートを散らしていき、時にはスライダーを交えながら打たせて取る投球。単調に見えたリズムもしっかりと間を取って投げるようになり、危なげない投球を見せた。
試合は東海大望洋が勝利を決めてベスト8進出。今年の東海大望洋は昨年に続き分業制を敷く。絶対的なエースは存在せず、継投で勝ち上がっていくチームに見えた。今年は昨年よりも打線の迫力は上で、打者のスイング、打球の速さは他校に比べて際立つものがある。投手力は例年より落ちるが、その分打線で補っていくチームカラーである。
千葉市川の大貫は4回以降無失点に抑える好投。県下でも打力のある東海大望洋打線を抑えこんだのは大きな自信になっただろう。右サイドは左打者を苦手にするといわれるが、インサイドに食い込む球を磨いていけば通用することを知ったはず。この経験を糧に来春、来夏はどこまで伸びていくか注目していきたい。
(文=編集部:河嶋宗一)