大師vs生田
「生田・大師」の試合風景
11人の大師と12人の生田
少人数対決は流れを掴んだ大師が逆転勝ち
試合前の挨拶に並んだ両チームの選手を合わせても23人。春と秋の大会では25人までベンチ入りできる神奈川県だが、両校分を合わせても1チームのベンチ入りに満たないということになる。大師は11人、生田は12人と秋季大会ならではの、ぎりぎりの数での公式戦である。
それでも、お互いが今の段階で、精いっぱいにやれることをやっていこうという姿勢が表れた試合だった。
夏は強豪日大藤沢に善戦した大師。しかし、そのチームから大きくメンバーが入れ替わって、大平康幸監督も、「夏のチームに比べたら、全然野球になっていません。ぎりぎりの人数で、練習も思うどおりにやれないくらいですから」と嘆いていた。とはいえ、背番号5ながら、夏もマウンド経験のある飯沼君がしっかりと投げ、守りも自滅することなく、序盤のビハインドを中盤で追いついて逆転。1点のリードをキープして辛くも逃げ切って、11人で勝利をものにした。
先制したのは生田だった。初回、2死から吉田君、佐々木君が連続右前打すると、続くクリストファー君がスライダーを柔らかい打撃で捉えて右中間に運ぶ三塁打で2者を帰した。3回にも生田は、失策の走者をバントで進めて、またもクリストファー君が右中間の同じようなところへ二塁打して3点目。
ここまでの展開を見ていると、生田の方に一日の長があるかと思えた。
ところが、野球はわからないものだ。4回、大師は先頭の3番宮里君が内野安打で出ると、小川君も中前打で続く。ここで牽制悪送球と暴投が続いて1点を返し、なおも、遠藤君が左中間二塁打して1点差。さらに、2死一三塁から9番井上君の内野飛球かと思われた一打が遊撃手と外野手の間に落ちて、これが同点タイムリー打となった。
これで、流れが一気に大師に傾いた。
飯村君の投球もリズムが出てきて、いいテンポになってきた。そして6回、大師は四球の走者をバントなどで進めて1死三塁となったところで、再び井上君の打球が、今度は二塁手と外野の間にポテンと落ちるラッキーな決勝打となった。いずれも、打ち取られたかなという打球だったかもしれないけれども、ポトリと落ちたことで、気まぐれな野球の神様が、大師に味方したとしか思えないような結果になった。
秋の新チームの最初の公式大会。その序盤戦だけに、試合慣れしていない選手も多く、ちょっとしたことで試合の流れも、あっちへ行ったりこっちへ来たりということになる。
大師は、それを上手く手繰り寄せられたということであろう。
(文・写真=手束仁)