広島新庄vs崇徳
好調金井が決めた!広島新庄が初の決勝進出!決勝は“監督兄弟対決”
約1時間20分の中断の後でも集中力と気合を取り戻していた。広島新庄・金井健太の積極性がまさった。延長10回2死三塁。長いインターバルの明けた後の初球を狙っていった。中前へ抜けていくヒットに一塁へたどり着くと何度もガッツポーズを繰り返した。値千金の決勝タイムリーに疲れ気味だった応援団も一気にヒートアップした。
金井は「打てたことは素直にうれしいです。気持ちで打っていこうと思いました」と声を弾ませた。長い中断にも「集中力を切らさないように声を掛け合いました。とにかく負けたくなかった」と万全の対策の上での成果を強調した。
その“長い中断”は延長10回2死三塁の場面で起こった。崇徳は投手・阪垣拓哉から松尾達宜に切り替え、再び阪垣へ。打者1人ずつ投手を切り替えて、このイニング4人目の打者・金井の前で問題の場面が起こった。崇徳・藤本誠監督は再びマウンドに松尾を戻そうとした。一度は松尾の交代を告げて投球練習もした。しかし、迫田監督が抗議して試合は中断となった。
理由は「野球協約」の第3・03条にある「プレーヤーの交代」にあった。投手が野手をして投手に戻った場合、再び野手には戻れないのが規則。崇徳は、この時点でベンチの選手20人を使い果たしていた。協約通りなら、阪垣は投げ続けるしかなかった。また、交代が成立している場合、崇徳に交代選手がいないため、出場選手が9人未満となって没収試合となる。審判団、広島県高野連と迫田監督の激しい意見交換が続いた後、交代を認めずに阪垣続投で試合再開となった。試合後に藤本監督が迫田守昭監督にお詫びを入れていた。迫田監督は「投手が野手、投手と回ったら、もう野手には戻れないという話をした」と振り返った。
広島新庄は、夏の大会では初の決勝進出を果たした。広島新庄・迫田守昭監督は如水館・迫田穆成監督の実弟にあたる。
「如水館も我々と対戦するとは思っていなかったのではないか。原点に戻って明日に臨みます。弱い者が負けるとは限らない」。
ノーシードから決勝に勝ち上がってきたことで自嘲気味に話しながらも、兄弟対決に楽しみにしている様子だった。
一方、崇徳・藤本監督は準決勝で接戦を展開した選手を褒め称えた。「本当に弱いチームだった。ここまでよく成長できたと思う」と話す。
1年秋からレギュラーでチームを引っ張ってきた崇徳・能島和輝主将は「自分たちらしい野球はできました。甲子園にはいけなかったけど、チームの雰囲気は最高でした」と1、2年生の多い若いチームに感謝していた。
(文=編集部)