試合レポート

高崎商vs高崎

2011.07.25

タカタカの夏 タカショウの夏 高崎マッチの行く末は?

群馬県立高崎商業高校。記憶に新しいのは一昨年の選抜甲子園 久々に群馬県から2校出場した。
前橋商業と高崎商業。
結果として初戦敗退となったが兵庫の報徳学園を苦しめ0-2での惜しい試合であった。
それ以来の甲子園を目指す高崎商業。 昨年からマウンドを守る192cm大型右腕の金井 和衛君を
軸に大技小技を絡めた総合力で勝ち上がってきた。

群馬県立高崎高校。 中曽根、福田赳夫の2人の総理大臣を輩出する県下1,2を争う進学校。
良きライバルの県立前橋高校が敗退してしまった今、文武両道の雄として甲子園出場を目指す。
今年の高崎高校はスター選手はいないが本当の意味での総合力で勝ち進んできている。
昨秋は2回戦 桐生市立商業に0-2で破れたが今春は県大会準決勝まで進み樹徳に敗れ関東大会へは出場できなかったが、あと一歩という場所まで近づいてきた。
試合前のシートノックを見ても各個人が適材適所に散らばり守備ミスを犯さない。
アウトにしなければチェンジにならず試合が終わらない事を考えれば やはり守備が一番の基本なのかもしれない。

この2校 今春の県大会で対戦している。その時は高崎高校が逃げ切っている。


 第一試合は雲に覆われ時折吹く爽やかな風に心地良さを感じたが高崎高校と高崎商業の試合がはじまるころには夏の日差しが照りつけ暑さ復活となった。
高崎商業は伝統のブラスバンドは綺麗な音色の曲を奏でる。一方高崎高校は伝統の応援部を中心にブラスバンド無しの全曲アカペラでの応援となった。

 

高崎高校の先発はエース左腕の大竹君。ストレートの球速は120km代から130kmに掛かる程度と昨今の高校生からすれば速くはないが補って余りあるコントロールとカーブ スライダーの緩急で的を絞らせないクレバーの左腕。

1回表の高崎商業の打線を3者凡退で抑えると8回までヒットは打たれるものの連打は許さず併殺も演出するなど高崎商業の打線を安打4 得点0に抑える好投を披露する。
”危なげない”という言葉がピッタリの圧巻の投球術だった。

高崎商業先発は注目の金井君ではなく背番号10 左腕の関君。
130km前半の速球とスライダーというオーソドックスな左腕。 投げる時に後ろをを見ながら前に顔が来るというか若干変速気味なフォームである。
球筋をみると打たせて取るというタイプなのだろう。

どうもこの日はピリッとしない。初回 2死まで簡単に取るも3番桜井君の2塁打で2死2塁 4番桑原君四球の後 5番塚越君のセンター前に運ばれ1点先制される。


 四回裏 高崎高校の攻撃。先頭の七番金子君が右中間を破り2塁打。きっちり送りバンドを決め1死3塁。ここでスクイズをせず強攻策に出るもセカンドゴロ。打球が強くランナーホームインできず2死3塁。1番に返り織茂君がセンター前へ運び1点追加。 四球の後 3番桜井君が三遊間を抜いて2塁ランナー一気にホームインで、この回2点目。 

ここで高崎商業 関くんから右の長身右腕 期待の金井君にスイッチ。金井君が後続を断ちチェンジ。
これだけだと関君が打たれての失点だと思われるが、例えば織茂君のセンター前の打球。ショートが追いついていながら取れずセンター前に抜けてしまった。打球も当たり損ねで遅く十分に追いついていたのでイレギュラーバウンドをしたのかもしれないが、上を目指すのであれば捕球必須の打球だった。

また2点目の桜井君の三遊間を抜いた打球。 サードが完全に捕球体勢に入って居ながら捕球できず ある意味ではトンネル状態。 抜けたレフトも返球が大きくそれバックネットへ。 ランナーが暴走気味だったことからきっちり中継に返球していれば十分に防げた失点だと思われる。

また五回裏の高崎高校の攻撃。 得点は無かったがツーアウトからヒットで出たランナーを牽制悪送球で2塁へ進めてしまう。 その後 ショートゴロに打ち取った打球をショートエラーで1、3塁にしてしまう。

失点はしていないが2回、3回も失策があり高崎商業の関君はランナーを背負った。
投手の責任で失った点は初回の1点のみであって、その後の失点は全て守備が足を引っ張った失点であった。
立ち上がりのリズムを掴めずに失策などでリズムを失い金井君にスイッチする結果になったことは関くん本人が一番悔しいのではないだろうか。


 試合の流れや高崎高校 大竹君の調子や高崎商業の守備の不安定さ、得点差からして大方決まったかと思われた、この試合。 
しかしドラマは8回に待っていた。

8回表 高崎商業の攻撃。先頭打者からヒット2本でノーアウト1塁、2塁のチャンス。
ここまで好投の大竹君をベンチに下げ2年生ながら速球に力のある島田君をマウンドへ。
今までも継投で勝ち上がってきた高崎高校からすれば当然の継投なのだろう。

しかし島田君 ストライクが入らない。 連続四球の押し出しで1点。センター前で2点追加で3点目。
ノーアウト2塁、3塁からライト前に運ばれランナー2者ホームインで遂に逆転の5点目。
その後も四球などで1死満塁になり投手交代 新井君へ。 独特の雰囲気に飲まれたのか新井君もストライクが入らず押し出し。 ここで更に投手交代で4人目の原田君へ変わるが内野ゴロの間に得点され7点目。
 
なんとかチェンジに持ち込むが高崎には魔のイニング 高崎商業にはビッグイニングとなった。

逆転以降の高崎商業の金井君と守備のリズムは今までとは正反対になる。
それまで相当の失策を犯してきている内野陣も難しい打球も難なく捕球しアウトにする。
 
金井君もリズムに乗り危なげ無い投球で8回9回の高崎高校の攻撃を抑え試合終了。

この結果を予想できた人はいるのだろうか? 高崎高校からすれば本当に悔しい敗戦であろう。
”たられば”を言ってしまえば大竹君の続投やベンチに下げず守備に就かせておけば結果は違うものになったのかもしれない。 あくまでも ”たられば”だが。
高崎商業は序盤の守備を修正することも必要だが、この勢いをスポイルさせる事なく次戦に望んで欲しいと思う。

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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