専大玉名vs熊本国府
平原(専大玉名)
三度目の正直
昨秋の県大会3位決定戦で4-6、今春の県大会準決勝で延長13回の末3-4と同じ相手に二度負けている専大玉名にとって、この試合は、まさに三度目の正直だった。
試合後、山本国臣監督にそのことについて話を聞くと「実は、私が監督になって初めて(熊本)国府さんに勝ったんですよ」というコメントが返ってきた。
それだけに試合前から選手それぞれの意識が違っているように感じられた。
専大玉名は、1回に1点、2回に1点、3回に2点と鮮やかな先制攻撃で序盤点を積み重ねた。
1回、いきなり先頭の平原勝尋が三塁打を放った。カウント、2ボール2ストライクからの高めのストレートを弾き返すと打球は左中間を破った。
「アウトになってもいいから思いっ切りいきました」(平原)
1死三塁、ここで3番・園道工也がスクイズを決め、専大玉名がまずは1点を先制した。
「先制点を取ったのがよかった」
そんな山本監督の言葉通り、勢いに乗った専大玉名は、2回に犠打を絡め、8番・山中章広が中前適時打を放ち1点、3回には3番・園道の中越えの三塁打と4番・高橋昂希の中前安打という連続のタイムリーで2点を追加した。
一方、熊本国府は、終盤の7回に1点、9回に2点と追い上げるなど、さすがといわんばかりの粘り強さをみせてくれた。
特に1番・田中就真と3番・橋本尚志はともに4安打と気を吐いた。
橋本(熊本国府)
この試合、熊本国府のチーム総安打数が10本。そのうちの8本をこの二人が打ったことになる。
昨秋の九州大会で足を負傷した橋本は、まだ完治していない状態にも関わらず、5回のライトオーバーの当たりでは、結果的に間一髪アウトになったが、三塁ベースに向かって懸命に走る姿が印象的だった。
「試合に出ている以上、(痛みなど)関係ありません」
橋本の心の底からにじみ出ていたコメントには心打たれるものがあった。
それにしてもキッチリと犠打を決め、11安打と打線好調の専大玉名。
今日も球場入りする前には、学校で朝の7:30から打撃練習をしてきたという。
「朝の練習からいいイメージができていました。3度目の正直ですからね」とここぞというところで三塁打を放った平原と園道、それぞれのインタビューからもまるで口を揃えたかのようなコメントを残してくれた。
「夏のためにもあと1勝。ここまできたら優勝を狙いたい」
三度目の正直にもおごらず、夏に向けての着実に一歩ずつ踏みしめていくこと。それは監督を始め、選手それぞれからも同じ空気が漂っていた。
そう、それだけ、チームは一つになっているのだ。
(文=編集部:PNアストロ)